プリセールスのシステム作った人 ☆4点
予告編
映画データ
あらすじ
オランダ、ロッテルダムの一銀行員に過ぎなかったフランズ・アフマンは、イタリア出身の大プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスの知己を得て、映画の完成前に配給権を販売する“プリセールス”というシステムを生み出した。この方法を利用してアフマンは新興映画会社に次々と融資を行い、「ターミネーター」、「プラトーン」、「ダンス・ウィズ・ウルブズ」といった数々の傑作が誕生する。アフマンのもとに参じたのはデ・ラウレンティスを筆頭に、キャノン・フィルムを率いるイスラエル人のメナハム・ゴーランとヨーラム・グローバス、レバノン出身のカロルコ・ピクチャーズ総帥マリオ・カサールとハンガリー出身のアンドリュー・G・ヴァイナ……。映画会社トップから製作資金集めに奔走するプロデューサー、監督まで、多岐に及んだ。アフマンがカンヌなどの国際映画祭に顔を出すと、面会を希望する映画人が跡を絶たなかったという。“プリセールス”システムによって各国のインディペンデント配給会社もアメリカ映画の大作を手がけることが可能になり、日本でも東宝東和、日本ヘラルド、松竹富士、GAGA などの会社がその恩恵に浴することになった。世界の映画市場に変革をもたらしたシステムを編み出した1人の銀行マン、フランズ・アフマン。その真実が明らかになる。
(MovieWalkerより引用)
ネタバレ感想
ディノ・デ・ラウレンティスと組んでプリセールスのシステムを作ったオランダ人の銀行員フランズ・アフマンに迫ったドキュメンタリーで実の娘さんが監督した作品です。
この娘さんは4人兄弟の末っ子で上の3人のお兄さんとは年が離れてるらしく、物心ついた頃にはハリウッドのスターが自宅に遊びにくる環境で育っていて、父親は何者なんだ?と思っていたそうです。
インタビュー対象者も父親にゆかりのある方ばかりなのでとても自然体です。
特に『プラトーン』に融資してもらったオリバー・ストーンと『トータル・リコール』『氷の微笑』に融資してもらったポール・バーホーベンはアフマンのことを語るときは嬉しそうでした。
80年代当時に映画を見ていたときはメジャーとインディペンデントを意識していませんでしたが(というより知りませんでしたが)、いま思い起こせばインディペンデント系が席巻していたんだなぁと思います。
メナヘム・ゴーラン率いるキャノン・フィルムズやマリオ・カサール率いるカロルコの名はよく目にしていました。
実際このプリセールスのシステムは、海の物とも山の物とも分からない企画や監督にお金を出したがらないメジャー会社とは対照的で、優れた脚本や才能ある若手監督には積極的に融資することで上手く機能していました。
『プラトーン』なんか、製作費が600万ドルだったなんて今では信じられないことです。
ただこのプリセールスのシステムも10年くらい続けてくるとマンネリ化し、優れた作品に融資することが少なくなり作品そのものがヒットしなくなったり、インディペンデント系自体が製作費が膨大にかかる大作を製作するようなメジャー体質になってしまい終焉を迎えます(メジャー会社が俳優のギャラを上げて囲い出したということもあります)。
カロルコ・ピクチャーズがいい例で『カットスロート・アイランド』と『ショーガール』の失敗により倒産してしまいました。
映画はラスト、バーホーベンへのインタビューで終わります。
「アフマンは亡くなってしまったが、君(娘さん)という素晴らしい作品を残していった」と言って涙します。
こちらもジーンときて、つられて泣きそうになりましたが、よくよく考えたら『ショーガール』の監督でもありました(笑)
鑑賞データ
ヒューマントラストシネマ渋谷 TCGメンバーズ ハッピーチューズデー 1000円
2016年 83作品目 累計96200円 1作品単価1159円
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