経費削減により起きた悲劇 ☆5点
予告編
映画データ
2010年のメキシコ湾原油流出事故の映画化です。
映画館ではそんなに予告編見なかった気がするんですけど、『ローン・サバイバー』のピーター・バーグ監督とマーク・ウォールバーグ主演のコンビってことで観に行ってきました。
これすごく面白かったですからね。
あらすじ
2010年4月20日の早朝。トランスオーシャン社のエンジニア、マイク・ウィリアムズ(マーク・ウォールバーグ)は、愛する妻フェリシア(ケイト・ハドソン)と幼い娘とのしばしの別れを惜しんでいた。これからメキシコ湾沖の石油掘削施設ディープウォーター・ホライゾンへと赴き、電気技師として3週間の務めを果たさなければならないのだ。フェリシアに見送られてマイクが到着したヘリポートには、上司の施設主任ジミー・ハレル(カート・ラッセル)の姿もあった。ジミーは自分たちの雇い主であるBP社の役員と挨拶を交わし、ネクタイを外すよう求める。そのネクタイは、施設で最悪の事態が起こったときに点灯するマゼンタの警告灯と同じ縁起の悪い色だった。
126人の作業員が働くディープウォーター・ホライゾンは、船位の自動保持装置や緊急時の防御システムといったさまざまな最先端テクノロジーを備えた巨大施設である。しかし問題は山積みだった。コンピュータ、通信機器からエアコンまで電気系統の故障が相次ぎ、修理を請け負うマイクは頭が痛い。それ以上に厄介なのはBP社の管理職社員ヴィドリン(ジョン・マルコヴィッチ)が、掘削作業終了前に必要なテストの担当者を独断で帰してしまったことだ。安全管理を何よりも重んじるジミーは、ヴィドリンが大幅な工期の遅れを取り戻そうともくろんでいることを見抜き、厳しい口調で問い詰める。それでも掘削の時期を早めたいヴィドリンは、まったく耳を貸そうとしない。掘削した坑井の中で新たに行ったセメントの強度確認テストでは異常値が示されたが、苦しい決断を迫られたジミーはヴィドリンの主張に反論しきれず、テストは“問題なし”となった。
テスト終了とともに掘削泥水の除去作業が開始され、作業員たちは「これでもうすぐ家に帰れる」と活気づく。ところがその夜、恐ろしい異変が生じた。海底のメタンガスが猛烈な勢いでライザーパイプに噴き上げた影響で、大量の原油が海上のドリルフロア上に漏れ出したのだ。ドリル監視室の若い作業員ケイレブ(ディラン・オブライエン)らは一瞬にして吹っ飛ばされて油まみれとなり、施設内にガス警報が発せられる。緊急防止装置は作動せず、施設のあちこちから原油が激しく噴出。管理室でマゼンタ色の警告灯の点灯を確認した女性作業者(ドリリングオペレーター)アンドレア(ジーナ・ロドリゲス)は、外部に救助を要請しようとするが、同僚に「勝手なことをするな」と止められてしまう。その直後、ついにガスや油がエンジン室に引火して凄まじい大爆発が発生し、ディープウォーター・ホライゾンはまたたく間に炎に包まれた。
爆発の瞬間、居住スペースでフェリシアとスカイプで会話していたマイクは、事態をのみ込めないまま瓦礫の山と化した部屋から這い出し、通路で倒れていた血まみれの作業員を助け起こす。そしてデッキにたどり着き、パニックに陥った同僚に重傷者を優先して救命ボートに乗せるよう言い聞かせると、仲間を救うために危険も顧みず、何もかも破壊された居住スペースへと戻っていく。ガラス片を浴びて全身傷だらけのジミーは視界を失い、真っ暗な通路でうずくまっていた。
からくも操縦室にたどり着いたマイクとジミーは、さらなる事態の悪化を阻止しようと電源の復旧を試みる。しかし連鎖的な爆発と黒煙が上がる大火災の勢いはとどまるところを知らず、あたり一面に火の海が広がるディープウォーター・ホライゾンからの脱出可能なタイムリミットはもう間近に迫っていた……。(公式サイトから引用)
く、詳しい。
ネタバレ感想
映画はですねー、作業自体は難しくて、観てても何やってるかよく分からないのです。
主人公たちがヘリで施設に着くと、セメントテストやる人たちが、慌てて帰っちゃうのは分かります。
主人公たちが乗ってきたヘリで帰るんですね。
でもセメントテストなるものが、何なのかは分かりません。
やらなきゃいけない大事なことなんだろうなというのは分かります。
それで、テストやったのか?って聞くんですけど、誰々(たぶんヴィドリン)に聞いてくれって言う訳です。
やったとかやってないとかハッキリ答えないんですね。
国会の答弁みたいなんです。
それで話が進んでいくと、このBP社の中間管理職であるヴィドリン(ジョン・マルコヴィッチ)が予算削減のために、色々端折ちゃってるのが分かります。
BP社の売上は1260億ドルくらいあるらしいんですけど、セメントテストの費用の12万5千ドルをケチります。
あと工期が43日遅れてるってことで、それにかかる費用ですね。
それで今度は圧力をかけるテストをやるんですけど、これも何やってるかはよく分かりません。
ただ圧力かけるテストやってると、海底からポコッ、ポコッ、とたまに水泡が上がってくるので怖いんですね。
前作が戦争映画というのもあって、密林の中で息を潜めてるゲリラ兵士みたいだな、なんて思って観てました。
圧力テストは異常な数値を示すんですけど、この数値だと泥水が上がってくるだろうけど、現象として現れてないから測定方法の誤りじゃないか、みたいなことをヴィドリンは言うんですけど、この辺は二転三転する豊洲市場の汚染濃度みたいだな、なんて思って観てました。
それでまぁ、ヴィドリンは、ああ言えば上祐みたいな人なんで押し切られます。
本作ではジョン・マルコヴィッチが一手に悪役を引き受けてます。
作業自体は何やってるか分からないですけど、分からないからといって、つまらないことは無いです。
『3月のライオン』もそうですけど、将棋が分からないからといって、つまらないことは無いです。
むしろ将棋知っててもプロ棋士の対戦とかその局面局面をパッと見ただけでは分からないですから、分からない人と同じです。
それで、分からなくても面白いのは、両作に共通するんですけど緊張感ですね。いい緊張感がずっとあります。
で、爆発です。
もう、これが凄いのなんの、戦争映画です。
静寂からの一気の爆撃みたいな。
この辺の、監督のローンサバイバーからの手腕たるや見事で、是非、映画館の大きなスクリーンで観ていただきたい作品です。
そういえば、序盤に主人公たちが乗ったヘリがバードストライクするんですが、そこからもう戦争映画の雰囲気だったもんなぁ。
それでですねぇ、ジミー役のカート・ラッセルがいいんです。
バックドラフトで消防士役だったカート・ラッセルが大変なことになっちゃいます。
ジミーは爆発のときシャワー浴びてたんで裸なんですね。
爆風でガラス片が飛び散り、意識取り戻して気づいたときには足裏にガラス刺さってて、ダイハードのジョン・マクレーン状態です。
視界も見えなくなっててアイパッチこそしないですけど、『ニューヨーク1997』のスネーク・プリスキンを思いだしました。
もうボロボロの状態でマイク(マーク・ウォールバーグ)に助けられるんですが、主任なんで操縦室に戻って指示出すんですね。
ギリギリまで指示を出してて、船長は事故があったとき一番最後に船を降りる、みたいでカッコよかったです。
対照的だったのはヴィドリンを演じたジョン・マルコヴィッチで、爆発のときは一番死にそうなトコにいたんですけど生きてて、助かったら我先に救命ボートに乗り込んでて、セウォル号の船長みたいだなと思いました。
ただですねぇ、この役を演じたジョン・マルコヴィッチには拍手してあげたいです。
この役、誰もやりたがらないですよ。
悪役を一手に引き受けてて、しかもBP社の実在の人物って。
今後の俳優人生とか考えたら二の足を踏む役だと思いますね。
ジョン・マルコヴィッチみたいなスタンスの役者じゃないと出来ないと思いました。
そもそもこの映画自体が製作費1億1千万ドルもする大作なのにメジャー配給(パラマウント、ワーナー・ブラザーズ、20世紀フォックス、ユニバーサル、ウォルト・ディズニー、コロンビア)じゃないっていうのが、色々勘ぐりたくなります。
BPに気を使ったんだろうなと。
そのせいか、アメリカでの興収は6千万ドルどまりですが、面白いですよこの映画。
盆と正月、ポセイドン・アドベンチャーとタワーリング・インフェルノがいっぺんにきたみたいで、それでいて107分にまとめてるのはさすがです。
それとタイトルの「バーニング・オーシャン」ですが、原題の「ディープウォーター・ホライズン」の方がよかったの声もありますが、わりと70年代のパニック映画の雰囲気もして、個人的には悪くないなと思いました。
鑑賞データ
TOHOシネマズスカラ座 シネマイレージ6P無料鑑賞 0円
2017年 63作品目 累計63200円 1作品単価1003円
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