告白小説、その結末 評価と感想/ある邦画にすごく似ています

告白小説、その結末 評価と感想
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ロマン・ポランスキーとオリヴィエ・アサヤスでこういう作品を作るとはある意味驚き ☆2.5点

フランスの作家デルフィーヌ・ドゥ・ヴィガンの『デルフィーヌの友情』を原作に『パーソナル・ショッパー』のオリヴィエ・アサヤスが脚本、ロマン・ポランスキーが監督したミステリーでW主演にエマニュエル・セニエとエヴァ・グリーン

予告編

映画データ

告白小説、その結末 : 作品情報 - 映画.com
告白小説、その結末の作品情報。上映スケジュール、映画レビュー、予告動画。「戦場のピアニスト」「ゴーストライター」の鬼才ロマン・ポランスキー監督が、「毛皮のヴィーナス」以来4年ぶりに手がけ...

本作は2018年6月23日(土)公開で、全国9館での公開です。
今後順次公開されて、最終的には29館での公開となるようです。

予告編はヒューマントラストシネマ有楽町に行ったときに目にしました。
作家と熱烈なファンということで『ミザリー』みたいなのを思い浮かべて観に行ってきました。

監督はロマン・ポランスキー
ポーランド出身の巨匠ですけど作品は『ローズマリーの赤ちゃん』と『チャイナタウン』しか見て無く『戦場のピアニスト』は見てないんですよね。

主演にエマニュエル・セニエ
フランスの女優さんなんで初めましてです。
ロマン・ポランスキー監督の奥さんなんですね。

主演にエヴァ・グリーン
こちらもフランスの女優さんで初めましてです。
ダニエル・クレイグ版ボンド1作目の『007 カジノ・ロワイヤル』のボンドガールだったんですね。

共演にヴァンサン・ペレーズ
俳優としての出演作は見たことないですが、昨年公開された監督作『ヒトラーへの285枚の葉書』がめちゃめちゃよかったです。

ヒトラーへの285枚の葉書 評価と感想/両主演の演技が鳥肌モノ
淡々と抵抗する ☆5点 実際のハンペル事件を元に1947年に出版されたハンス・ファラダ著「Alone in Berlin(ベルリンに一人死す)」の映画化で監督はヴァンサン・ペレーズ。主演にブレンダン・グリーソン、エマ・トンプソン、ダニエル・...

他に共演と配役は以下の通りです。

デルフィーヌ: エマニュエル・セニエ
エル: エヴァ・グリーン
フランソワ: ヴァンサン・ペレーズ
レイモンド: ドミニク・ピノン
オリアーヌ: カミール・シャムー

あらすじ

心を病んで自殺した母親との生活を綴った私小説がベストセラーとなった後、スランプに陥っているデルフィーヌの前に、ある日、熱狂的なファンだと称する聡明で美しい女性エル<彼女>が現れる。差出人不明の脅迫状にも苦しめられるデルフィーヌは、献身的に支えてくれて、本音で語り合えるエルに信頼を寄せていく。まもなくふたりは共同生活を始めるが、時折ヒステリックに豹変するエルは、不可解な言動でデルフィーヌを翻弄する。はたしてエルは何者なのか? なぜデルフィーヌに接近してきたのか? やがてエルの身の上話に衝撃を受けたデルフィーヌは、彼女の壮絶な人生を小説にしようと決意するが、その先には作者自身にも想像できない悪夢のような“結末”が待ち受けていた……。

公式サイトより引用)

ネタバレ感想

前日にウディ・アレン監督作『女と男の観覧車』を観たんですが、ウディ・アレン、ロマン・ポランスキーと続いたからってペドフィリアではありません。

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冗談はさておき、最初に書いた通り予告編では『ミザリー』をイメージして観に行った訳ですが、「どうもそういうお話じゃないな」と途中で気付き、下のWEB限定予告編などは見てませんでしたが、かなり早い段階で巨匠が仕掛けたミステリーは読み解けました。

「彼女は何者?」とありますが、エヴァ・グリーンの役名がエル「ELLE(彼女の意)」なので、気づく人はすぐ気づいちゃうと思います。

実は本作は昨年公開された邦画『めがみさま』とよく似ていて、笑っちゃいました。

上映時間100分なのも一緒です。

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本作は書店でデルフィーヌがサイン会してるところから始まります。
でもデルフィーヌは途中でしんどくなってくると出版社の人に「終了して」と言って終わらせてもらいます。
まだ列に並んでる人がいるので、すごいなと思うんですが、出版社の人がお客さんを帰らせてると、「あと1冊だけお願い」と言って美女が現れます。
その美女は「母親がファンで遠くから来た」と言いますが、デルフィーヌは他のお客さんを帰らせてることもあって断ります。

サイン会を終了させたデルフィーヌは出版社の担当と車に乗り込むと関係者のパーティーに顔を出します。
そこで一通り挨拶と歓談を交わして疲れると、人がいない部屋で休憩しようとしますが、その部屋にさっきの美女がいます。
デルフィーヌはその美女と世間話をすると、話しやすいこともあっていい印象を抱きます。
そして「さっきはすまなかった」と言って著書にサインします。
サインするために宛名を聞くと、その美女は「エル(Elle)へ」と答えます。

デルフィーヌは心を病んで自殺した母親との生活を綴った私小説がベストセラーとなりますが、批判も多く、脅迫状なども送られてきていて精神をすり減らしています。
また新作の構想も浮かばずスランプに陥っています。
自宅のパソコンで執筆を行おうとするものの、手の進まないデルフィーヌにエルから電話がかかってきてカフェで会うことになります。

エルとカフェで会ったデルフィーヌは電話番号を教えた記憶がなく、「電話番号教えたかしら?」と聞きますが、エルは「社交辞令で教えてもらった」と言います。
デルフィーヌはエルにいい印象を抱いてるので特に疑問を抱きません。
デルフィーヌの悩みに的確なアドバイスをくれるエルと色々話してると有名人や政治家のゴーストライターをしてることが分かります。
エルはデルフィーヌに新作の構想とかは普段どうしてるのかと聞くと、デルフィーヌは4冊の手帳を見せてそれにアイデアをまとめてると教えます。
デルフィーヌは「このあと出版社との打ち合わせがある」と言ってお開きにしようとすると、エルが「何で行くの?」と尋ねます。
デルフィーヌが「地下鉄」と答えると、エルも「途中まで一緒だから」と言って、2人で地下鉄に乗ります。
エルが先に降りて別れ、デルフィーヌも目的の駅に着いてホームを歩いてると、カバンから小物が落ちてきます。
デルフィーヌがカバンを見ると穴が開いていて、手帳が4冊とも無くなってるのに気づきます。

別の日。
ネタ帳を失って、ますます筆が進まなくなったデルフィーヌが気分転換にベランダに出たところ、エルから電話がかかってきます。
デルフィーヌが電話に出ると、エルはデルフィーヌの様子を知ってる口ぶりで話すので不思議に思います。
ベランダにいるデルフィーヌがよく見ると斜め向かいのマンションからエルが手を振っていて、ご近所だったことが判明します。
デルフィーヌはエルに誘われるがまま、近所のカフェで気分転換をします。

デルフィーヌはカフェでエルと会うと誕生日パーティに誘われます。
デルフィーヌは「もちろん行く」と答えます。

デルフィーヌはエルの誕生日パーティを訪れると一番乗りで、他に招待客はまだ誰も来てませんでした。
エルが作った豪華な料理が並びテーブルセッティングもされていますが、しばらく待っても誰もやって来ません。
エルは「2人で始めよう」と言いますが、デルフィーヌが「もう少し待つ」と言うと、エルは「実は、毎年誰も来ない」と言います。
エルによると毎年、招待メールを一斉送信してましたが、夫の死後から返信が無くなり誰も来なくなったと言います。
デルフィーヌは理由を尋ねますが、エルは「今は言えない」と言います。

デルフィーヌの夫のフランソワは書評家で自分のトーク番組を持ってる有名人で、海外を飛び回っています。
今はニューヨークに滞在中でドン・デリーロとの対談が実現すると言って喜んでます。
子供たちも独立してて、エルの孤独な状況に共感を深めるデルフィーヌです。

デルフィーヌは苦悩しながらも新作のプロットを書き上げます。
新作はどうしてもフィクションを書きたいデルフィーヌはエルにアドバイスを求めますが、面白くないと言われ、私小説を書くべきと言われます。
デルフィーヌの筆がまた進まなくなると、フェイスブックが炎上してると言ってエルが訪ねてきます。

フェイスブックをやってなくSNSに疎いデルフィーヌは、エルに対応を任せます。
パソコンを開くためのパスワードを教えると、エルは炎上に対処し、メールが溜まってることを教えます。
エルは脅迫の手紙やSNSの炎上に疲れ切っているデルフィーヌが、執筆だけに集中できるよう、メールの返信など含めてマネジメントを買って出ます。
またその際に自身が処方してもらってる精神安定剤をデルフィーヌにも処方します。

エルはメールの中に、高校からの講演依頼があるのを見つけると、デルフィーヌにどうするか尋ねます。
デルフィーヌはそれは以前から聞いていた話で是非やりたいと言い返信してもらいます。

エルがデルフィーヌのマネジメントのため頻繁に自宅を訪れるようになると、エルからしばらく住まわせて欲しいとお願いされます。
エルの部屋の貸主が海外から急遽戻ることになり、新しいところが見つかるまでとお願いされます。
デルフィーヌは使ってない子供部屋があったので快諾すると同居生活が始まります。

別の日。
ラジオ局のインタビューがデルフィーヌの自宅で行われます。
収録の様子を子供部屋で窺っていたエルはラジオ局のスタッフが帰ると、「聞いてなかった」と言って激昂します。
そのままエルは夕食の準備をするためミキサーを動かそうとすると、うまく動かないミキサーに苛立ち床に叩きつけて壊します。
デルフィーヌはエルが献身的に支えてくれるかと思えば、突然激昂したりすることに戸惑いを覚えます。

別の日。
講演予定の高校から最終的な確認メールが届きます。
デルフィーヌは講演の内容は完成していましたが、体調を崩し弱気になっていたため、この期に及んで辞退したいと言います。
するとエルが自分が代わりに行くと突拍子もない提案をします。
絶対にバレると言うデルフィーヌでしたが、変装すればバレないと自信満々に言うエルに押し切られ、エルが講演に行くことになります。
講演を終え、遅くに帰って来たエルは、心配するデルフィーヌをよそに、「学校の先生にバレ、警察で事情聴取されて遅くなった」とあっけらかんと言い、「けれど、生徒たちにはバレなかったから成功よ」と嬉々として語るのでした。

そんなある日、デルフィーヌが気分転換に公園を散歩してると、サイン会で付き添っていた出版社の担当と偶然出くわします。
久しぶりに会う出版社の担当は、デルフィーヌの様子を心配して、「私や私以外にも、しばらく連絡しないように、とメールが送られてきたけど、どうかしたの?」と言われます。
デルフィーヌは一瞬、何を言われてるか分かりませんでしたが、すぐにエルが勝手にやったことだと推察します。
ニューヨークにいるフランソワにも相談すると、距離を取った方がいいと言われます。
デルフィーヌはエルが勝手に友人たちにメールを送ったことを非難すると、「執筆に集中できるようにと思って!」と逆ギレし、エルは出ていきます。

デルフィーヌは、エルに買い物など身の回りの世話もしてもらっていましたが、エルがいなくなると自身で買い物に行きます。
しかし買い物の帰り、自宅アパートの階段を上がる際に、鳴った電話を取ろうとして足を踏み外し骨折してしまいます。
デルフィーヌが入院する羽目になると、真っ先に心配して現れたのはエルでした。
結局、退院までエルが付き添うと2人の関係は元に戻ります。

エルはデルフィーヌの足がギプスで固定され松葉杖が必要なことから、デルフィーヌの別荘へ行くことを提案します。
デルフィーヌに了承されるとエルの運転で別荘に向かいます。

途中、給油のためガソリンスタンドに寄ると、エルは売店に行き、デルフィーヌが車に残ります。
すると別の車を給油してた女性が「デルフィーヌさんですよね?」と声をかけてきます。
その女性は講演を行なった高校の先生でデルフィーヌが約束をすっぽかして来なかったと怒ってます。
デルフィーヌは講演に行ったと言いますが、その女性は「非常識な人ね」と捨て台詞を吐いてガソリンスタンドをあとにします。

別荘での生活が始まると、エルはこれまでになく自分の過去を饒舌に語り始めます。
デルフィーヌはエルの話に引き込まれると、これこそが自分が書くべき題材だと悟ります。
デルフィーヌはエルに見つからないようにノートにまとめ始めます。

ある日、エルの悲鳴が聞こえます。
デルフィーヌが駆け付けると地下倉庫からネズミが出たとのことでした。
ネズミが苦手なエルは殺鼠剤を買ってくると、地下倉庫に置いてくるよう足の悪いデルフィーヌに頼みます。
デルフィーヌが這って地下倉庫に殺鼠剤を置いてくると、その日の夕方から体調が悪くなります。

エルは豪華な夕食を作りますが、デルフィーヌが食べないので不機嫌になります。
デルフィーヌはベッドに横になりますが、エルは少し食べた方がいいと言ってスープを持ってきます。
強引に食べさせようとするエルを欺くために、デルフィーヌは「あとで食べるから」と言うと、ベッドの脇にスープを捨てます。

エルの様子に段々と恐怖を感じてきたデルフィーヌですが、体調がどんどん悪化し動けません。
そんな折、夫のフランソワから電話が入り、助けを求めようとしますが、エルが電話に出てしまいます。
エルが「デルフィーヌは食中毒で横になっている」と話すのが聞こえると眠ってしまいます。

暫くすると玄関をドンドン叩く音でデルフィーヌは目覚めます。
デルフィーヌの名前を呼ぶその声は、別荘近くに住んでいる友人でした。
しかし、相変わらず体が動かないデルフィーヌが応答できずにいると、友人は帰ってしまいます。

それから暫くしてようやくデルフィーヌは動けるようになります。
デルフィーヌはエルの気配が無いのを確認すると別荘から松葉杖をついて逃げます。
道路沿いに明かりのついた家を見つけると、助けを求めようとしますが、ヘッドライトを点けた車が猛然とデルフィーヌに向かってきます。
デルフィーヌは間一髪で車をかわすと、道路脇の工事現場に落ちてしまい気を失います。
翌朝、作業員が工事現場にやってくると泥だらけで倒れてるデルフィーヌが発見され病院に収容されます。

デルフィーヌが自殺を図ったと知らされたフランソワはニューヨークから慌てて戻ってきます。
病院ではデルフィーヌの体内から殺鼠剤が検出され、自殺を図ったと思われたのでした。
心配するフランソワにデルフィーヌはエルの仕業だと言いますが、フランソワは信じません。
デルフィーヌはフランソワに「エルと話したこと何度もあるでしょ?」と聞きますが、「デルフィーヌの話に出てくるだけで直接話したことが無い」と言われます。

デルフィーヌは暫く入院すると体調も回復します。
病院を退院したデルフィーヌは復帰の報告を出版社の担当にしに行くと、こないだ送られてきた原稿がよかったと褒めらます。
デルフィーヌは「原稿なんて送ってない」と言いますが、担当はすでに出版スケジュールを組んでいました。

デルフィーヌの新作「実話に基づく物語」はまたもやベストセラーとなり、サイン会が行われています。
そこにはエルのように赤い口紅とマニキュアをしてサインするデルフィーヌの姿がありました。

 

本作は一言で言えば「生みに苦しむ作家の内面に存在する、もう一人の自分を描いた作品」だと思うんですけど、『めがみさま』でも主人公に変わって新聞社のインタビューを受けたり、セミナーの主宰者になったりして、普通なら「それバレちゃうんじゃないの?」という展開になるんですが、『めがみさま』ではバレなくて、本作では講演をすっぽかした設定になってます。

あとこういう作品を描くときは『シックス・センス』と同じで、第三者には2人のうちどちらかしか見えないようになってます。

本作ではエルが登場する大部分がデルフィーヌと二人きりで、カフェなど第三者がいる場合はエルがいない人のように扱われます。

『めがみさま』でも本作でも、もう1人の自分が車を運転してますが、2人きりのシーンなので問題無いんですよね。

どちらかがパクった訳では無くて偶然だと思うのですが、主人公が終始、心身ともに疲弊してて重苦しい雰囲気でミステリーチックに進む展開は上映時間100分まで含めて似ているので、見比べて観ると大変面白いと思います。

鑑賞データ

ヒューマントラストシネマ有楽町 TCGメンバーズ ハッピーフライデー 1000円
2018年 110作品目 累計104600円 1作品単価951円

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