強くしたたかに生きる ☆4点
予告編
映画データ
あらすじ
第二次世界大戦末期の1944年8月14日。双子の兄弟(アンドラーシュ・ジェーマント、ラースロー・ジェーマント)は母親に連れられ、村人から“魔女”と呼ばれる祖母(ピロシュカ・モルナール)が暮らす国境に近い田舎へ疎開する。母親と別れた兄弟に与えられた仕事は、薪割りと水汲み、そして鶏や豚への餌やり。祖母の家の敷地には川があり、その先は外国だった。やがて仲良くなった隣家の少女と一緒に、町の酒場で寸劇などをして小銭を稼ぎ始める。また、森の中では兵士の遺体を発見し、そこから武器を盗む。その一方で、母親が自分たちに送ってくれた物資を祖母が隠していたことを知る。いつまでも迎えに来ない母親を忘れるため、精神を鍛える訓練で母の手紙と写真を焼き、残酷さに慣れる訓練として虫や魚などの生き物を殺す。兵士の遺体から奪った手榴弾を司祭館のストーブに投げ入れた兄弟は、女中に大火傷を負わせたことから警察に連行され、拷問を受ける。2人を助けたのは、祖母の家の離れに住む外国人将校だった。戦争が終わったとの噂を耳にして、祖母と一緒に収容所を見に行くが、そこには何も残っていなかった。そして、外国語を話す軍隊がやって来る。その戦車に乗せてもらった隣の女の子は、死体になって帰ってきた。死にたいと言う女の子の母親の求めに応じて、家に火を点ける兄弟。やがて、赤ん坊を抱いた母親が車でやって来るが、空から落ちてきた爆弾で赤ん坊とともに命を落とす。2人の遺体を埋めていた祖母が、発作を起こして倒れる。そこへ、兵士として戦っていた父親(ウルリッヒ・マテス)が現れ、墓地に埋葬するために母の遺体を掘り起こすが、その際に赤ん坊の存在を知る。そして祖母が亡くなる。言われた通りに祖母の遺体を清め、母親の隣に埋めた兄弟は翌朝、逮捕を逃れるために逃亡を図る父親を国境の鉄条網へと案内する。だがそれは、2人にとって“別れ”という最後の訓練でもあった。
(MovieWalkerより引用)
ネタバレ感想
原作は20年程前に読みました。
その文体は独特で、時代や固有名詞は明記されておらず、まさにタイトル通りこの双子の日記を盗み見ているような作品でありながら、哲学的な観念をも包括していて、現代文学でも最高峰の一冊ではないかと思います。
おそらく映像化はとても難しい作品だったと思いますが、所々違いはあるものの、ほぼ原作に忠実でなかなか丁寧に作られていて、よかったと思います。
主役の双子の少年は、なかなかの美少年で目力もあり、素人からの抜擢ということですが、彼らの境遇も作中の「ぼくら」とリンクしているようで、それが影響しているかはわかりませんが、演技もよかったです。
作中、たびたび響く打楽器の音(映画『共喰い』でもこんな感じの音が使われていました)が物語に重厚感を与えていると思いました。
また、物語を簡潔に進めるために、時折挿入される東欧風のイラストも効果的だったと思います。
この物語を映画で見て初めて知った人は、是非原作を読んで欲しいですし、このスタッフで続編の「ふたりの証拠」と「第三の嘘」が作られればいいなぁと思います。
鑑賞データ
TOHOシネマズシャンテ シネマイレージ6P無料鑑賞 0円
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