動物と子供には勝てない(笑) ☆4.5点
2010年にアメリカで出版されると49週に亘りベストセラーランキング入りしたW・ブルース・キャメロン著「野良犬トビーの愛すべき転生(原題:A Dog’s Purpose)」の映画化で監督はラッセ・ハルストレム、出演にデニス・クエイドとペギー・リプトン
予告編
映画データ
本作は2017年9月29日(金)公開で全国で240館と結構な上映規模です。
この映画、劇場で予告編を見たことが無く全くのノーマークでしたが『亜人』の公開と同じ週で、その週の週末動員ランキングが『亜人』に次いで2位ということで知りました。
ヤフー映画の評価点でも4点オーバーということで上映2週目も終わるタイミングで観てきました。
監督はラッセ・ハルストレム
『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』や『ギルバート・グレイプ』『HACHI 約束の犬』の監督さんで1970年代からコンスタントに作品を撮られていて非常に息の長い監督さんです。
未見の作品がいっぱいあるなぁ、ジョン・アーヴィング原作の『サイダーハウス・ルール』なんかも面白そうですし、前作の『マダム・マロリーと魔法のスパイス』は観たいなぁと思っていたところです。
ハートフルコメディみたいの撮らせたら天下一品じゃないでしょうか。
出演はデニス・クエイド
『ライトスタッフ』や『ワイアット・アープ』『デイ・アフター・トゥモロー』などが出演作としては有名でしょうか。
出演はペギー・リプトン
出てきたときは綺麗なおばあさん役だなと思ったのですが、『ツイン・ピークス』のRRダイナー、ノーマ・ジェニングスだとは気づきませんでした(ほぼこの制服姿しか見たことないからな)。
ノーマ(右)ってだけでテンション上がる!
他に共演と配役は以下の通りです。
ベイリー/エリー/ティノ/バディの声: ジョシュ・ギャッド
8歳のイーサン: ブライス・ガイザー
10代のイーサン: K・J・アパ
大人のイーサン: デニス・クエイド
10代のハンナ: ブリット・ロバートソン
大人のハンナ: ペギー・リプトン
イーサンの父: ルーク・カービー
イーサンの母: ジュリエット・ライランス
イーサンの祖父: マイケル・ボフシェヴァー
イーサンの祖母: ガブリエル・ローズ
カルロス: ジョン・オーティス
マヤ: カービー・ハウエル=バプティスト
あらすじ
僕の名前はベイリー、
ゴールデン・レトリバーの子犬だ。ある夏の暑い日、車に閉じ込められて苦しんでいたところを、8歳のイーサンと彼の母親に助けられる。感激した僕は、「この子から離れない」と小さな胸に誓った。
イーサンのママが渋るパパを説得し、僕は晴れてイーサンの家族の一員に!
それからは、イーサンが学校へ行く以外は、遊ぶ時も寝る時も僕たちはいつも一緒だ。夏休みには、イーサンの祖父母の農場へ泊まりにいき、美しい自然のなか毎日のようにアメフトのボールで遊んだ。特別なフォーメーションで、イーサンが投げたボールを僕がキャッチする、僕たちだけの得意技も開発したのさ!やがて時が流れ、
イーサンは逞しく成長し、高校のアメフト部で将来有望な選手として活躍するようになる。僕とイーサンの友情はますます深まっていたけれど、イーサンの両親の関係は壊れてしまい、パパが家を出て行くことになった。
高校生活最後の夏休み、イーサンは遊園地で出会ったハンナに初めての恋をする。いち早く察した僕がきっかけを作って、彼女を僕らの“群れ”に入れてあげたんだ。休みの最後の日、イーサンとハンナは同じ大学に奨学金を申請することを約束するまでの仲になったのさ。
名門大学の奨学金を獲得し、喜びに弾けるイーサン。ところが、嫉妬にかられたダメな同級生が、家の中に花火を投げ込んだ。あっという間に火の手が上がり、ママと僕を先に避難させてくれたイーサンは、逃げ遅れて脚に大けがを負ってしまった。走ることすらできなくなった失意のイーサンに僕が付き添って、祖父母の農場で療養した。せっかくハンナが見舞いに来てくれたのに、同情に耐えられないイーサンは自ら別れを告げる。何とか僕が引き留めようとしたけれど、ハンナは泣きながら帰ってしまった。
やがて回復したイーサンは、農業学校で勉強するために一人暮らしを始めると決めたんだ。
イーサンと別れるなんて全く理解できない僕は、全速力で車を追いかけたのに、イーサンは僕を置いて行ってしまった。数年が経ち、年をとった僕にお迎えが来た。知らせを聞いたイーサンが駆けつけてくれたんだけれど、僕は悲しむイーサンを見て、「イーサンを愛し、幸せにするのが僕の役目なのに」と、心から悔やみながらこの世を去ったんだ。
ところが!
イーサンの未来が心配な僕の想いが通じたのか、僕はエリーという女の子のシェパードに生まれ変わった。強面だけど寂しがり屋の相棒のカルロスと最強のコンビを組み、警察犬としての立派な“犬生”を全うした。その次にもコーギーのティノに生まれ変わった僕は、マヤという孤独な女性が、結婚して幸せな家族を作るまでを見届けた。
そして、4度目の犬生で飼い主に捨てられた僕は、ついにイーサンと再会した! 僕の心もしっぽも喜びではちきれそうなのに、もちろんイーサンは僕だとわからない。その時、僕は気付いた。なぜ何度も生まれ変わったのか、僕の真の使命は何なのかに──。(公式サイトhttp://boku-wonderful.jp/story.htmlより引用)
ネタバレ感想
基本的に犬視点で話が進み、犬を擬人化して、犬が「自分は何のために生きてるんだろう?犬生とは?」と自問自答して喋りながら話が進みます。
その犬の声を『アナと雪の女王』でオラフ役だったジョシュ・ギャッドが演じているので、いい感じに仕上がってます。
映画の冒頭で犬が死んでもまた生まれ変わるとナレーションされるので、最初のベイリーが死んでも安心して見れます。
上映時間100分の映画なのでテンポよく進み、最初のイーサンとベイリーの話が50分ほど、カルロスと警察犬、マヤとコーギーの話がそれぞれ10分ほど描かれ、ラスト30分がセントバーナードとシェパードのミックス犬バディの話になります。
バディはトラックの荷台で行われてる譲渡会でパンクガールに貰われますが、彼氏と同棲してるパンクガールは貧しく、彼氏も外で飼えと言って劣悪な環境で飼われます。
近隣住民から動物虐待の疑いで通報されると、彼氏は車に乗せて遠くに運びバディを捨ててきてしまいます。
バディが街を彷徨ってると犬が集まってる公園に出ます。
そこで1頭の犬と出会うと何だか懐かしい匂いがします。
その飼い主の女性が近づいてくると若い頃のハンナに似ていました。
バディは再び街を彷徨い森を抜けると麦畑に出ます。
その麦畑は見覚えがありました。
イーサンが農業学校へと旅立つお別れの時にベイリーが追いかけるのに通った麦畑でした。
麦畑を抜けるとイーサンの家が見え、庭には初老のイーサンが立ってます。
バディは一目散にイーサンの元に向かいますが、バディとベイリーでは犬種も違い、時間も50年近く経ってるのでイーサンは当然のようにベイリーとは気づかず、迷い犬として接します。
イーサンはとりあえずご飯をあげますが、バディには飼えないと言います。
でもイーサンの家の前で動かないバディ。
翌日イーサンは仕方なく動物保護施設に連れていきます。
しかしイーサンは考え直し翌日バディを迎えに行き飼うことを決めます。
シャンプーをしてあげて、首輪とネームプレートを作ります。
ネームプレートを作ったペットショップはベイリーのを作ったときと同じお店でした。
ネームプレートをもらったバディは思うところがあり、ハンナ似の人に出会った公園に向かいます。
すると前回と同じように公園で遊んでいました。
ハンナ似の女性は小さい男の子と犬を連れています。
女性が帰るのを尾けると、家は公園の近くでした。
するとその家にもう1人、初老の女性がやってきますが、バディは匂いでその人こそがハンナだと分かります。
家に入ろうとするハンナに後ろからじゃれると気づいてもらえます。
ハンナ似の女性はハンナの娘で男の子は孫でした。そして娘さんは妊娠中でもあります。
ハンナは娘にバディの事を聞くと、公園で見かけた犬だと言われます。
首輪に付いたネームプレートを確認すると表にはバディの名前が彫られ、裏返すとそこにはイーサンの名前が刻まれてあり、ハンナは驚きます。
ハンナはバディを車に乗せてイーサンの家に向かいます。
イーサンの家の扉をノックしますが、気まずいイーサンはなかなか出てきません。
バディが扉をガシガシやると諦めてイーサンが出てきます。
これまでのことを話す2人。
ハンナは夫に先立たれ今は未亡人。娘や孫が生きがいです。
一方のイーサンはずっと独身で、祖父母が残してくれた農場を継いでました。
イーサンはハンナと別れ際、勇気を出して過去の過ちを謝罪し告白すると、2人は結婚することになります。
結婚式はイーサンの農場で行われます。ハンナの家は大家族でした。
イーサンはバディが取り持ってくれた縁に感謝します。
バディは50年越しでハンナとイーサンをくっつけることに成功し、自分の使命を果たした気がします。
でも、まだ、イーサンにベイリーとは気づいてもらえません。
イーサンとハンナが結婚式の片づけをしてます。
バディはベイリーがやってたみたいに尻尾を追ってクルクル回りますが、イーサンに「ベイリーみたいだな」と言われるだけで気づいてもらえません。
バディは納屋になってる倉庫に入ると、古いアメフトボールを見つけてきます。
イーサンにボールで遊んでとせがむバディ。
しばらくは普通にボール遊びをしてましたが、不服そうなバディ。
そこでイーサンはボールを高く投げると身をかがめます。
するとバディがイーサンの体を使ってジャンプして空中でボールをキャッチします。
それはイーサンとベイリーの特別なフォーメーションでした。
イーサンはバディがベイリーの生まれ変わりだと気づいて映画は終わります。
いや、もうね、バディが捨てられてハンナ似の女性に出会う辺りから展開が読めて、ラストシーンのジャンプのイメージも想像ついたんですが、分かっていてもやっぱり泣かされてしまいました。
動物は可愛いですし、『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』でもそうでしたが少年役の子も可愛いので無邪気に「ベイリー、ベイリー、ベイリー」って言ってるのがラストにも掛かってくるんでやられちゃいます。
少年がそのまま大きくなったような表情のデニス・クエイドもよかったです。
本作に関する情報は全くのノーマークでしたのでちょっと調べてみたんですが、アメリカでは2017年1月27日(金)公開で全米3000館強での公開です。
初週の週末興行成績は1800万ドルくらいの2位スタートで最終的には6400万ドルくらいです。
でも世界興収合わせると2億ドルいってて、そのうち中国が8800万ドルくらいを占めてます。
その他の国ではメキシコが600万ドルくらいでそんなにヒットしてないんですが、日本が公開2週で400万ドル超えてて興収ベースだと中国とアメリカに次ぎそうな感じです。
ロッテントマトを見ると批評家のトマトメーターが31%と低く、観客のスコアが73%で思ったより低い印象です。
参考 A Dog’s Purpose (2017) – Rotten Tomatoes
何でかな?と思ったんですが、調べてみるとちょっとした騒動があったみたいです。
アメリカのTMZという芸能ゴシップサイトで動物虐待じゃないか?っていうリーク映像が出たみたいなんですね。
その後の調査で公式から否定する声明が出たみたいですが、そういうのも影響してるのかもしれません。
(http://boku-wonderful.jp/attention.htmlより引用)
日本でも昔『子猫物語』でそういう騒動が出たのを思い出しました。
それにしても、昨年公開された『メン・イン・キャット』で「猫に九生有り」って言葉を知ったんですが、犬にもそれをあてはめて面白い物語を考えたなと思います。
2回目に転生するコーギーでは、飼い主のマヤが自分が食べてるお菓子とかあげちゃう人で、ペットの調子が悪くなったので病院に行ったら注意されて、もう少し運動させなきゃダメとか言われるんですけど、これ結構コーギーあるあるでニヤッと出来るとこだったりして、そういうところも面白いです。
現在、ペット飼ってる人はこの映画観たらすぐに家に帰りたくなると思いますし、昔飼ってた人なら色々思いを馳せるんじゃないかと思います。
大人から子供まで家族そろって楽しめる映画なんでおススメでございます。
鑑賞データ
TOHOシネマズ日劇 TOHOシネマズデイ 1100円
2017年 170作品目 累計181700円 1作品単価1069円
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