想像してたのと少し違ったかな ☆3点
予告編
映画データ
映画館で予告編を見て面白そうだなーと思い鑑賞。
HTC渋谷で観たんですが7~8割がた席埋まってて結構お客さん入ってましたね。
前日丸ピカで観た『破門』より入ってました。
去年?一昨年?一昨々年ですか、『365日のシンプルライフ』ってドキュメンタリー映画がありまして、わりとこのテーマは好きで、予告編を見たとき面白そうだなーと思ったんですが、見そびれてしまいまして、もうレンタルも出てると思うんですけど、未だに観てないという体たらくです。
元々、このテーマに興味を持ったきっかけは1989年に公開されてカンヌでパルム・ドールを受賞したスティーブン・ソダーバーグ監督の『セックスと嘘とビデオテープ』からで、ジェームズ・スペイダーが演じた主人公のグレアムが所有しないって人だったんですね。
車と車の鍵があれば十分という人で、身軽にしていればどこにでも行けるって。
家を持てば家の鍵、机を持てば机の引き出しの鍵、ってどんどん増えていく。防犯も考えなくちゃいけないし、守るものが増えていくっていう。
これ大学生のときに見たんで感化されまして、所有しないっていいなと思ったんですけど、結構、難しい。
やっぱり生活していくと、どんどん物が増えていきます。
色々買ったところで棺桶にまでは持っていけないんですけどね。
そんな訳で、このテーマは結構、興味があったんですけど、イメージしたのとはちょっと違いました。
主人公のマーク・レイさんは52歳(撮影時)。若い頃は一流ブランドのモデルをしてたこともある方で、現在はフリーの写真家。
でも、映画を見てる限り写真家としての決まった仕事はなくて、街を歩いてるモデルを見かけては声をかけて写真を撮らせてもらって、それを複数の雑誌社に送るっていうことをしていて、採用されればラッキーって感じです。あとはファッションショーとかでの合同フォトセッションで撮影してる感じでした。
それと俳優の仕事もしていて、一応、全米映画俳優組合(SAG)にも所属してるみたいなんですけど、仕事としてはエキストラに毛が生えた感じでした。
マークさんを見てて思ったのは、特に最初の方、モデルさんに声かけるときなんですけど、一部のモデル事務所からは睨まれてるみたいで、そのことについて反論してたんですけど、それ聞いててちょっとメンドくさそうな方だなと思いました。
マークさんは、鍵を持ってないと入れないマンションの屋上をねぐらにしてるんですけど、なんで鍵を持ってるかというと、以前、友人が留守にするっていうので家に泊めてもらってたんですが、その時に合鍵を作ってたんですね。今もその友人はマンションの5階に住んでるらしく屋上のすぐ下の階なので、鉢合わせしないようにしてるらしいのですが、なんかもうこれで住居不法侵入(本人も自覚してました)ですし、友人を裏切る行為ですし、全然ノレませんでした。
地下鉄で移動する際も、改札を飛び越えるシーンがあったりして、無賃乗車ぽかったですし、なんだかなぁと思いました。
ひげを剃ったり、身だしなりを整えたり、洗濯するのは、公園のトイレでしてるんですけど移動する際は荷物増えますし、大変そうだなぁと思って観てました。
それでいて物が少ないかっていうとそうでもなく、ジムに通っているんですが、ジムのロッカーは3つくらい占拠していて、その中には物がぎっしり。カメラはデジカメなんでパソコンも持ってます。
撮った写真を修整するのにパソコンが使えるカフェは必須なんですが、閉店時間になっちゃうとまた違うお店に行かねばならず、ドリンク1杯で粘るにしてもお金かかるだろうし、安い部屋を借りちゃった方が結果的に安いんじゃないかなぁ?と思ってしまいました。
マークさんの1か月の出費はジム代120ドル、健康保険280ドル、食費450ドル、夜の飲み代に300ドルかそれ以上で月に1400~1500ドルも使ってると本人が驚いてましが、なんか節約すれば部屋借りれそうな気がするんですよね。ニューヨークの家賃相場知らないですけど。
マークさんが言うには、ニューヨークの人たちはストレスを抱えている(そういった部屋を借りたりで)、って言うんですけど、マークさんも前述の不法侵入で逮捕されちゃうんじゃないか?とか屋上なんで雨降ったらどうしようとか不安に思ってて、自由に生きてるって言ってもストレスフリーじゃ無いんですよね。
じゃあ、なんでホームレスをやっているのか?というのは、映画の最後の方で語られるんですけど、なんか聞いててもよく分からなかったです。独自の深い哲学とか信念があるわけでも無さそうな気がしましたし。
マークさんは1995年にニューヨークに来たらしいのですが、当初はチェルシー地区の家賃300ドルの所に住んでたらしいです。当時のチェルシー地区はソーホー地区などからアートギャラリーが移転してくる前で、高級地ではなかったのですが、高級地化により立ち退かなければならなくなって、2000年に立ち退いたそうですが、立退料3万ドルももらったそうです。で、1か月後にはリオに居たって言ってましたけど、それ使っちゃダメじゃんと思いました。
うーん、マークさんは結局何がしたかったのかなぁ?
なんか、ファッション業界の華やかなところには常にうろちょろしてたい、みたいのは見てとれます。
有名な売れっ子フォトグラファーになりたいのか、売れっ子俳優になりたいのか、まあそういうのを通して表現者としてやっていきたいんでしょうけど、ホームレスである必要がないんですよね。
武井壮さんとか浜田ブリトニーさんも一時、ホームレスで話題になりましたが、貧乏アイドルとかと一緒で、メリットはそういうのでインパクトがあって話題(名前が知られる)になることくらいかな?
松嶋菜々子さん主演の「やまとなでしこ」ってドラマありましたけど、あの主人公も華やかなアフター5とは対照的にボロアパートに住んでましたけど、そんなことも思い浮かべたり。
マークさんは愛してるって言ったことが無い(家族を除いて)って言ってましたけど、自分が愛さなければ他人からも愛されないよなぁとも思ったりして、なんかホームレスの原因もここら辺にあるのかなぁ?とかも思ったりしました。
と、まあ、映画だけ観た印象で色々書いてきたんですが、ここらへんのインタビューを読むと、また見方も変わったりしました。
(DOTPLACE記事:「私は屋根の上の生活をすることの自由を楽しんでいました。」映画『ホームレス ニューヨークと寝た男』マーク・レイ(主演)×菅付雅信(編集者)対談)
(クーリエ・ジャポン記事:ニューヨークのファッション写真家の僕は、実はホームレスだった│マーク・レイの衝撃インタビュー)
(AFP通信記事:美しきホームレス、マーク・レイがそれでもNYを愛する理由)
【前編】
【後編】
ふむ、ニューヨークといえども東京くらいだろうと思っていた家賃相場ですが、べらぼうに高そうですね。毎年12%も上昇されたら敵わないです。
なんだかんだ言って東京は20年くらい変わらないからすごいなって思いました。
結論:なんでマークさんがホームレスになったかは、ニューヨークの家賃がべらぼうに高いからで、テーマもニューヨークの家賃は高すぎるぞ、若いクリエイターたちが集まらなくなるぞ、ってことを危惧した映画なのかなと思います。
音楽はクリント・イーストウッドの息子さんのカイル・イーストウッドという方だそうで、ジャジーな音楽がニューヨークの夜とマッチしていて、おしゃれなドキュメンタリー映画に仕上がっていました。
ところでマーク・レイさんはプロモーションも兼ねて日本に来てるみたいで、日本で就職活動(クラウドファンディング)もしてるみたいなんですけど、日本だったら雑誌レオンのモデルがピッタリだと思うんですけど、どうなんだろ?
(クラウドファンディングプラットフォームMotionGallery:世界一スタイリッシュなホームレス!?ファッションモデル兼フォトグラファー、マーク・レイの日本での就職活動にご支援を!)
鑑賞データ
ヒューマントラストシネマ渋谷 TCGメンバーズ ハッピーチューズデー 1000円
2017年 12作品目 累計9300円 1作品単価775円
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