キング・オブ・クソ映画 ☆1点
予告編
映画データ
あらすじ
会社をリストラされ今はコンビニエンスストアでアルバイトをしているうだつの上がらないフリーター、中津(東出昌大)は、なぜか優れた身体能力を持つニートの土志田(窪田正孝)や卓越した情報収集力を発揮する女子高生のカオリ(小松菜奈)、夜な夜な若者を殴っているサラリーマンの日下(片岡鶴太郎)とともに自警団を結成。
社会が裁ききれないような小さな悪事をはたらくものを高いところから吊り下げ、晒し上げ始めた。
彼らの行為は次第に市民から支持を集め、自警団の拡大に伴いホームレスの宇野(船越英一郎)を社長に据えて低料金で警備をする『ともしび総合警備保障』を設立する。
しかし新しく加わったメンバーの中には私欲を満たすために力を使うものもおり、組織の秩序が崩れ始める……。(MovieWalkerより引用)
ネタバレ感想
まず始まってすぐのアクションシーンがカット割りが多く、カメラがぶれぶれで見辛いし酔う。
俳優さんはアクションシーンは頑張ってると思うが、最近はあれくらいのレベルはざらにある。
窪田さんが使ってるスパイダーマンから取ってつけたようなギミックとか、なまじ予算があるために出来たのだろうなと思う。
このアクションシーンを見て、開始5分にして相当な駄作だという予感が頭をよぎる。
このシーンは映画終盤のクライマックスを冒頭に見せてるのだが、主人公の東出さんが重要なことを言っている。
「なぜ今こんなことになっているのかというとアイツのせいだ」みたいな心の声を呟く。
しかしこの発言は映画が進むにつれて矛盾してるのが分かる。
舞台となる街の設定が理解できない。
東京から新幹線で1~2時間ほどの地方都市。
シャッター商店街は荒廃していて不良たちのたまり場になってるが、人出は多く活気はある。
ロボコップの舞台になった近未来のデトロイトみたいのを意識してるのだろうか?
ストリート・オブ・ファイヤーみたいな線を狙ってるのか?
いや、どう見ても現代日本の設定である。警察は何をしているのか?
タイトルのヒーローマニア。
主人公の中津(東出昌大)は何のヒーローに憧れてるのだろうか?
自分の部屋に何かのフィギュアが置いてある訳でもないしコスチュームを作っている訳でもない。
『キック・アス』や『ゼブラーマン』のようにヘタレの主人公であっても、ヒーロに対する憧れはあってマニアでもある。
主人公のどこにヒーローマニアの要素があるのか?
土志田(窪田正孝)は下着ドロボーである。
れっきとした犯罪である。
犯罪者がなぜヒーローになりえるのか?
まあ、そこは百歩譲ってまだいい。
なぜ中津のスカウトを受諾するのか?
コンビニで理不尽な仕打ちを受けていたのに理解出来ない。
日下(片岡鶴太郎)がトンカチを振り回している。
トンカチで頭をフルスイングすれば頭は陥没する。
血が出る。
人は死ぬ。
が、そういうのは描いてない。
影響されて真似をする人がいたらどう責任をとるのか?
なぜ若者狩りをやってるかの説明を生態系の図を使って、もっともらしく説明しているが意味不明。
しかも、後にこの説明は取って付けたものだと明かされる…。
カオリ(小松菜奈)の行動が終始意味不明。
彼女は味方なのか敵なのか、何のポリシーの元に行動してるのか?
ルパン三世に出てくる峰不二子みたいにお金大好きでそれが全ての行動基準になっているのなら分かるのだが…。
吊るし魔に全くもって感情移入できない。
彼らのどこがヒーローなのか?
私刑を行うのであれば、私刑を行うのに値すると、犯人たちの憎たらしさを観客に理解させなければいけない。
ドヤ顔でコミック調のカット割でつるし魔の活躍を見せられても、取ってつけたような洋画のパクリにしか見えない。
なまじ予算があるからこういうことをしてしまうのか?
吊るし魔を法人化するのが意味不明。
宇野(船越英一郎)はなぜホームレスから代表に成り得るのか?
日下はどこを信用したのかが全くの謎。
屋上での意味不明な踊りや、喋り方は誰がそんな演技を付けたのか?
相棒の水谷豊さんの真似だという声があった。
自分は気付かなかったが、観客を馬鹿にしてるのかと不快になるだけであった。
なぜあのような演技指導になったのか理由が知りたい。
日下の娘が駅まで傘を持ってきてくれる。
お腹の大きい娘をみて「私もついにおじいちゃんか」と言う。
一緒に暮らしてるであろう設定で、あのシーンであの台詞を書く脚本家の意味が分からない。
説明の為の台詞なんか要らない。
見れば理解できる。
若者狩りの理由で生態系の説明はとってつけたものだと明かされる。
孫が生まれるがこんな酷い世の中に生み出していいのだろうかと考えてこのような行動になったと。
『セブン』のモーガン・フリーマンが同じようなことを言ってたと思い出す。
それでも日下のトンカチおやじの正当性は無いように思う。
黄色いレインコートの殺人鬼、オカッパおばさん(山崎静代)の存在が意味不明。
ヒーローマニアで人を殺すキャラクターは彼女だけで異次元の存在と言っていいし、パワーも超人並だ。
吊るし魔の二人がどうやっても敵う相手ではない。
それに殺されないのはご都合主義的過ぎる。
そもそも出さなくてもいいキャラクターだ。
日下を殺して感傷に浸らせたかったのか?
脚本が本当に酷くて、幼稚だ。
登場人物がなぜそのような行動を取るのか動機付けが全くなされてない。
脚本が薄っぺらいから間延びするのを埋めようとして余計な演出をするが、それが更に映画を悪くしている。
しかも中途半端に予算があるからハリウッド映画で見たことあるような描写をする。
音楽もマーベルヒーロー物のような大仰しさで作品の質に全然見合ってない。
これもなまじ予算があるからだろう。
そんな所にお金をかけるなら脚本を百回練り直せと言いたい。
豊島圭介監督の『花宵道中』は良かっただけに、残念で仕方ありません。
鑑賞データ
シネ・リーブル池袋 TCGメンバーズ ハッピーフライデー 1000円
2016年 51作品目 累計59500円 1作品単価1167円
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