観終わってよくよく考えると ☆3.5点
予告編
映画データ
映画館の予告編で聞き覚えのある歌(ローラ・ブラニガンのグロリア。映画ではオリジナルのウンベルト・トッツィ版)をバックに主人公の女性がくるくる回ってるシーンが印象的だったのと、ベルリン映画祭受賞作ということで観て参りました。
チリの映画なんですね。チリというとアレハンドロ・ホドロフスキー監督の作品ぐらいしか観たことなかったので、どんな映画かと思いましたが、普通にアメリカ映画やヨーロッパ映画と変わらなかったです。
あらすじ
主人公のグロリア(バウリーナ・ガルシア)は夫と離婚して12年。二人の子供も自立して今は一人で暮らす日々。
一人で暮らすことに時折こみ上げる寂しさはあるものの、仕事は充実していて、家事にお手伝いさんを雇い、余暇はパートナーを探す目的も兼ねてダンスホールで踊るのが趣味。
ある日いつものようにダンスホールへ踊りに行くと、一人の男性(セルヒオ・エルナンデス)からの熱い視線。男性の方から声をかけてきて話をすると、その男性は1年前に離婚したという。二人は直ぐに意気投合しその日の内にベッドイン。大人(年配の)恋が始まりますが…。
というような内容です。
ネタバレ感想
予告で観たときは漫画の「黄昏流星群」みたいな感じで「大人の恋が進んでいくのかな?」と思ったんですが、どうも様子が違うんですよね。
この相手の男というのが煮え切らないのです。
離婚して1年も経つというのに、娘たちに泣きつかれると事あるごとに元妻と暮らしてる娘たちの元へ向かい援助していて、グロリアとのデートにも支障をきたすレベル。
しかも娘たちは二人とも30歳近くのいい大人なのに無職のニート。元妻も無職なので完全に元夫をあてにしています。
このことが原因で二人は度々喧嘩するんですが、仲直りも兼ねたリゾート地での旅行中に、これまた男が無断で帰ってしまい二人の関係はジ・エンド。
グロリアは完全に決別するために男の家へ行きあることをするのですが、これはもう完全に大人の恋の甘酸っぱいお話では無くて、一人でも強く生きていくんだ的な姿が描かれていて、想像していた結末とだいぶ違いました。
それで物語のテーマはそれはそれでいいのですが、観終わってからよくよく考えると、実は相手の男は離婚していなくて、都合のよい浮気相手を探していたのではないか?と思いました。
男はグロリアのことを愛してると言いながらも、元の家族を優先していますし、仮に離婚していたとしても、実質家庭があるのと変わらない訳で。
そう考えると、最後にグロリアがとった行動はスカッとした復讐劇で印象も全く違ったものになるなぁと思いました。
物語の途中、グロリアの元夫と子供たちに男を紹介するホームパーティーのシーンで、政治的なお話(ピノチェトの軍事政権)が出てくるのですが、この辺は日本人にはちょっと分かり辛かったです。
デニーロとストリープの『恋におちて』みたいなのを想像していくと結末は違いますが、このお話はこれはこれで有りで、強く生きていかなきゃ!と思いました。
鑑賞データ
ヒューマントラストシネマ渋谷 TCGメンバーズ ハッピーフライデー 1000円
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