これは原題より上手い邦題かも ☆4点
米国の女性作家ジョイス・キャロル・オーツが1987年にロザモンド・スミス名義で刊行した短編小説「Lives of the Twins」をフランスの映画監督フランソワ・オゾンが翻案脚本して映画化。
元モデルのヒロインが双子の精神分析医に惹かれていく心理サスペンス。
主演にマリーヌ・ヴァクト、ジェレミー・レニエ、共演にジャクリーン・ビセット
予告編
映画データ
本作は2018年8月4日(土)公開で、全国8館での公開です。
今後順次公開されて、最終的には27館での公開となるようです。
予告編はヒューマントラストシネマ渋谷で何回か見て、心理サスペンスということで面白そうだなと思いました。
監督はフランソワ・オゾン
名前はよく聞きますが作品を見るのは初めてです。
まだ三大映画祭では作品賞や監督賞の受賞経験は無いんですね。
代表作は『スイミング・プール』とか『8人の女たち』や『危険なプロット』あたりになるんでしょうか?
主演にマリーヌ・ヴァクト
フランスの女優さんなんで初めましてです。
15歳からモデルを始めH&M、イヴ・サンローラン、ルイ・ヴィトンなどのモデルを務めたそうです。
20歳のときに初めて映画に出演し、2013年にオゾン監督の『17歳』で主演してます。
主演にジェレミー・レニエ
こちらはベルギーの男優さんで初めましてと思ったら、ダルデンヌ兄弟の『午後8時の訪問者』で観てました。
共演にジャクリーン・ビセット
やはりスティーブ・マックイーンと共演した『ブリット』が印象に残ってます。
他に共演と配役は以下の通りです。
クロエ: マリーヌ・ヴァクト
ポール・メイエ/ルイ・ドロール: ジェレミー・レニエ
シェンカー夫人/クロエの母: ジャクリーン・ビセット
婦人科医/アグネス・ウェクセラー: ドミニク・レイモン
ローズ: ミリアム・ボワイエ
サンドラ・シェンカー: ファニー・セイジ
あらすじ
主人公のクロエは原因不明の腹痛に悩む25歳の女性。精神分析のカウンセリングを受けることで痛みから解放された彼女は、分析医のポールと恋に落ち、同居を始める。そんなある日、クロエは街でポールそっくりの男を見かける。彼はポールの双子の兄で精神分析医のルイだった。なぜポールはルイの存在を隠していたのか? 疑惑にかられ、偽名を使ってルイのクリニックに通い始めたクロエは、優しいポールとは反対に傲慢で挑発的なルイに惹きつけられていく……。
(公式サイトより引用)
ネタバレ感想
「オゾンが仕掛ける7つの罠を見抜け」っていう動画があったのは知らなかったんですが、物語はクロエが長い髪をバッサリと切ってるところから始まります。
次にシーンが変わってどこか体内の様子を映してます。
大腸とか胃の内視鏡カメラの映像かな?と思うんですが、引きの画面になるとそこは婦人科で膣鏡(クスコ)でクロエの膣内を覗いてる(マリーヌ・ヴァクトのものなのかしら?いや、ボディダブルか?)ことが分かります。
クロエは原因不明の腹痛に悩んでるんですけど、婦人科医は検査した限り異常は見つからないと言います。
精神的なものからきてるかもしれないとのことで、精神分析医を紹介してもらいそれがポールでした。
ポールのカウンセリングは初回から「じゃあ、座って」と言ったきり、ポールからは何も聞いてきません。
クロエが「私から喋ればいいんですか?」と聞いて自分のことを喋ると、キリのいい所まで話を聞いて、また次回のカウンセリングの予約をして帰る感じです。
クロエの自分語りでは、22歳までモデルをしていて現在は無職です。
母親のことを疎んでいて、父親のことは知らないと言います。
父親は一夜限りの相手だったようで、クロエは望まれない妊娠で生まれてきたと言います。
無職の間はモデルのときの貯えで生活してるようで、ようやく自分にも出来そうな仕事が見つかって、美術館監視員の求人に応募したところ採用が決まります。
ポールとのカウンセリングは回数を重ねていくと、ポールも喋るようになり、クロエの痛みも和らいでいきます。
クロエはポールに好意を抱き、ポールもクロエに好意を抱くと、ポールはカウンセリングを終わりにしようと言います。
クロエは戸惑いましたが、それはポールと付き合うことを意味していて、ポールから告白されて付き合うことになります。
精神分析治療において患者が医師に恋愛感情を抱くことを「転移」、その反対を「逆転移」というらしいのですが、基本的には御法度らしいです。
ポールもそこは心得ているようで、同棲するようになると、評判のいい女医のウェクセラーを紹介してカウンセリングを受けるよう勧めます。
クロエは引っ越し作業をしていると、隣人のローズと知り合います。
クロエが飼ってる猫のミロを見て、自分も飼ってたと猫好きをアピールしてきたからなんですが、ローズはお節介なおばあさんでケーキを焼いたとか言って、クロエの家の様子を窺いに上がり込んだりしてきますが、クロエはそこまで露骨に嫌な顔はしません。
またポールと一緒に暮らし始めると、どうやらポールが猫嫌いなことが分かって、ローズにミロを一時預かってもらうんですが、ローズの部屋には娘が飼ってたという猫の剥製があったりして、なんとなく違和感を感じます。
そしてローズに預かってもらったらミロが逃げてしまうという事態が起こります。
ローズは本当に申し訳なさそうにしてるので、怒るに怒れないのですが、ミロは後日ひょっこり帰ってきたりします。
隣人との描写は監督の意図するところは分かりませんが、母親との関係のメタファーみたいなものになってるんでしょうかね?
クロエは引っ越しの荷物を片付けていると、段ボールに入ったポールの荷物に目が留まります。
段ボールの中を見るとポールの昔のパスポートが出てくるんですが、今とは苗字が違いました。
それを見たクロエは自分がポールのことを何も知らないのに気づき不安になります。
仕事から帰って来たポールに名前のことを思い切って聞くと、「人の荷物、勝手に見たの?」と言われますが、医師になるときに母方の姓にしたと言われます。
理由は母親の姓の方が通りがいいからだと言われますが、なんとなくモヤモヤするクロエは隠し事や嘘は付かないで欲しいと言うのでした。
別の日、監視員の仕事を終えてバスで帰ってると、通り沿いで女性と話してるポールを見かけます。
仕事を終えて帰って来たポールに今日は何をしてたかと聞くと、ずっと診療してたと言われます。
嘘を付かれたと思ったクロエは、「今日どこどこであなたを見かけたわよ」と言いますが、ポールはそんなところには行っていないと言うのでした。
不審に思ったクロエはポールが立ち話してた場所に行ってみると、そこはルイ・ドロールという精神分析医のクリニックです。
クロエは偽名を使って予約すると、現れたのはポールと瓜二つのルイという男でした。
クロエは単刀直入にポールのことを尋ねると双子の弟だと言われます。
ルイがポールを知ってるのかと尋ねるので妹が受診してたことにしてその場をしのぎます。
そしてルイはポールに嫌われてるようで兄の存在を隠したがってるとも言われます。
また紳士的で優しいポールと違って、ルイは強引で高圧的な男というのも分かります。
しかし洞察力も鋭く、妹がいるというのは嘘だろうと言い、美人で不感症な女性ほど嘘で気を引きたがると言います。
カウンセリング料金も高く150ユーロの診察料を請求されるのでした。
家に帰ったクロエはやはり名前を変えたことが気になりポールに問い質すと、父親が脱税したからだと打ち明けられます。
確かにこれは言い辛い理由で納得できましたが、今度はそれとなく兄弟について探りを入れると兄弟はいないと言われます。
クロエは、優しいけどどこか隠し事がありそうなポールと、強引だけど何でも明け透けに話すルイの間で気持ちが揺れます。
ルイに嫌悪感を抱いていたクロエでしたが、ポールのことをもっと知りたくてルイのクリニックに足が向いてしまいます。
2回目のカウンセリングは本当に短い時間でしたが、帰り際に手を出されると握手と勘違いし、なぜかキスまでしてしまいます。
しかしその差し出された手は診察料を徴収するためで、再び150ユーロを徴収されるのでした。
その晩、ポールからは紹介したウェクセラーのカウンセリングはどうかと聞かれると、クロエはとってもいい先生だと答えますが、ポールには本当のことを求めるのに自分は嘘を付き、ルイのカウンセリングを受けたことをポールに隠したまま眠りにつきます。
するとクロエはポールとセックスしてる夢を見ますが、そこにルイが現れて3Pしてる夢を見るのでした。
この辺からはクロエの夢というか妄想が入ってきて、クロエのシャム双生児のイメージが現れたり、内容がやや掴みづらくなるのですが、デヴィッド・クローネンバーグ監督の『戦慄の絆』っぽくなってきたなと思いました。
クロエはルイの元へ3回目のカウンセリングに出かけます。
それまでの2回は男っぽい服装でしたが、3回目はやや女性らしい服装で出かけます。
ルイはクロエがやってくるなり、今日はこっちの部屋だといい奥の扉を開けると、そこにはベッドが置いてありました。
ルイに「俺のことを求めてるんだろ」と言われ、「そんなことない」というクロエでしたが、ルイに身体を愛撫されると反応してしまいます。
しかしルイは突然、「今日はこれまで」と言って愛撫を止めると「次はもっと感じるように」と言って、その日のカウンセリングはお開きになるのでした。
段々とルイに魅せられたクロエは4回目のカウンセリングに訪れると、ベッドで待つルイに対し自ら服を脱いで、2人は激しいセックスをするのでした。
またその際にルイがペットとして三毛猫を飼ってるのが分かります。
ルイは三毛猫でも珍しい雄だと言って珍しい理由を説明します。
ルイによると雄の三毛猫は胎児のときは双子で優勢な方が劣勢な方を取り込んで出来るのだと言い、暗に自分の方がポールより優秀なことを誇示するのでした。
ある日、クロエはポールに付き添って医学界のパーティーに出かけます。
そこではポールの大学時代の同級生もいたので、クロエは双子の兄の存在を聞いてみますが、同級生は誰も知らないと言い、ルイの言ってることが本当なのか分からなくなってきます。
また、パーティーでひと際注目を集める女性に目が留まると、ポールにあれは誰?と聞きます。
ポールが驚いて「紹介したウェクセラー(婦人科医と1人2役)じゃないか」と言うと、クロエは酔ったフリをして帰りたいと言うのでした。
ポールの運転で車を走らせてると、クロエは途中で気分が悪くなり、強引に車を停めさせると、外で吐いてしまいます。
すると再びルイの幻影が現れ、今度はクロエを追いかけてきます。
クロエは走って逃げますが道端に倒れてしまいます。
ポールからはクロエがパニックに陥ってるようにしか見えませんでしたが、この日から再びクロエはお腹が痛くなってきます。
別の日の夜、ポールが体を求めてくるとクロエは生理中だと言ってやんわりと拒否します。
しかし翌日ルイのカウンセリングに訪れるとクロエが部屋に入るなりルイはクロエを押し倒します。
ルイは強引にクンニリングスをすると、口の周りが血液で真っ赤に染まります。
そのまま野獣のようなセックスをすると、クロエの耳元で「ポールともヤッてるんだろ」と言い放ちます。
驚いたクロエが体を離すと、最初に来た時から偽名を使ってポールとも付き合ってたことは分かっていたと言います。
ルイはポールから自分に乗り換えるように勧めますが、動転したクロエは部屋を出ていきます。
しかしクロエはポールを愛してるものの、ルイに呼び出されると再び会いに行ってしまいます。
ルイはポールとは合わせ鏡のような双子だが全てにおいて自分の方が優勢であるとアピールすると、クロエは双子の兄弟に思いを馳せるのでした。
また別の日の夜、レストランで食事をしてるとポールからプロポーズをされます。
クロエはとても嬉しそうな表情を浮かべ、帰り道に一軒のアダルトショップの前を通りかかると立ち寄ります。
クロエはそこでペニスバンドを購入すると、家に帰って早速ポールを相手に試します。
燃えるような夜を過ごしてポールが寝てしまうと、ベッドに横になっていたクロエはお腹に違和感を感じ始めます。
また別の日、ルイに会いに行くとクロエは妊娠したらしいことを告げます。
ルイは「ポールに話したのか?」と聞くと、クロエはまだ告げて無いと言いますが、ルイは「俺たちの遺伝子は同じだからどっちの子だか分からない」と言います。
しかし、クロエはポールの子であると確信していてポールと結婚すると言います。
そしてルイにはポールとの間に過去に何があったのか、本当のことを話すように迫ります。
しかし自分が選ばれなかったルイは嫉妬すると、本当のことが知りたければポールに聞けと言い放ちます。
するとその様子を見たクロエはルイをなじり、本当は弟に嫉妬してるのはルイの方でコンプレックスを感じてるのではないかと指摘します。
するとルイは烈火のごとく怒り、クロエのことを叩きだすと出ていけと喚き散らすのでした。
クロエは行きつけの婦人科でエコー検査をしてもらいますが、影のようなものは見えません。
婦人科の帰り、クロエは暗い表情でベビーショップに立ち寄るのでした。
後日、あれほど怒っていたルイでしたが、「すまなかった、やり直したい」と電話がかかってきます。
「オレの身体が忘れられないんじゃないか?」とも言いますが、クロエはきっぱりと拒絶するのでした。
クロエの誕生日の日、初めてポールが美術館にやってきます。
ポールは誕生日だからランチに誘いに来たと言います。
2人は近くのレストランに行くと、ポールは猫のブローチをプレゼントします。
喜んだクロエはポールにキスをしますが、キスでルイだと気づくのでした。
怒ったクロエはルイにワインをかけると出ていこうとしますが、ルイはサンドラ・シェンカーを探せと言います。
その日の夜は自宅でポールと誕生日を祝うと、プロポーズのときに渡されなかった指輪をプレゼントされます。
またポールは翌日から3日間、学会の会議に出張に行くと言います。
クロエはポールが出張に出かけると、ポールの書斎に入り引き出しを調べ、サンドラの写真と手紙を見つけ2人が恋人だったことを知ります。
また引き出しからは1丁の拳銃も見つけます。
ネットで電話番号を調べて電話をかけるとサンドラの母親が出たため高校時代の同級生だと言って会うことにします。
クロエは車で出掛け、郊外にあるサンドラの家に着くと、シェンカー夫人に女優を目指していた頃の輝いていたサンドラの写真を見せられ、2階の部屋に案内されます。
日の当たらない2階の部屋にはやせ細って殆ど反応がないサンドラがいて、シェンカー夫人は体調のいい日と悪い日があると説明してると、クロエはサンドラがやせ細った自分に見え恐怖を感じるのでした。
気分が悪くなったクロエが1階に降りると、サンドラに何があったかがシェンカー夫人の口から語られます。
学生時代、サンドラとポールはお似合いのカップルでポールはとてもいい青年だったと言います。
しかし、ポールの双子の兄のルイは怪物で、ポールのフリをしてサンドラに無理矢理お酒を飲ませて酔わせると、処女だったサンドラをレイプしたと言います。
怒ったポールはそれ以来ルイとは絶縁しましたが、レイプされたサンドラのことも受け入れられず、2人は別れたと言います。
そしてサンドラもそれを悲観して拳銃自殺未遂を起こし、あのような姿になったと言うのでした。
シェンカー夫人はクロエに双子を知ってるのかと尋ねてきます。
クロエが知ってると答えると、シェンカー夫人は被害を受けてないかと聞いてきます。
クロエが嘘を付いて「受けてない」と答えると、シェンカー夫人はそれを見透かして「2人の被害に遭ってるけど、あなたはそれを楽しんでるのね」といい、「この薄汚い変態」と罵ってくるのでした。
クロエは慌ててシェンカー夫人の家を出ると、自宅に戻りますが一台の車が後をつけてきます。
クロエが自宅マンションの駐車場に入ると、車に轢き殺されかけ、部屋の前にはルイがプレゼントしてきた猫のブローチの箱に、猫の舌が入っていました。
恐怖を感じたクロエはローズの家に泊めてもらうことにします。
ローズはクロエが深夜に突然来たにも関わらず快く受け入れ、娘のパジャマまで用意してあげるのでした。
翌朝、クロエが寝ているとローズが起こしに来て、部屋の前にはいなくなった飼い猫のミロを抱えたポールが立っていました。
不思議に思ったクロエが「どうしてここにいると分かったの?」と聞くと、ポールは「留守の間、様子を見てもらうように頼んでた」と言い、2人は部屋に戻ります。
クロエは部屋に戻るとポールのことを調べてたといい、ルイやサンドラのことを切り出します。
2人の名前を出されたポールは辛い記憶だったようで、2人のことは忘れたと言って涙します。
しかしポールの話はシェンカー夫人の話とやや違い、サンドラが二股をかけてたと言います。
それを知ったポールがサンドラを拒絶して結果的に自殺未遂を引き起こしたが、自業自得の面もあるとサンドラを非難するようなことを言います。
するとクロエはローズの部屋で再び目覚めます。
ポールがミロを抱えて迎えに来たのは夢でした。
クロエは慌てて自宅に戻るとポールから電話がかかってきます。
ポールは学会の会議で会ったウェクセラーからクロエがカウンセリングに来てないことを聞かされ、「どういうことなの?」と電話してきたのでした。
今までの嘘がバレたクロエは後で説明すると言って電話を切ると、ルイとの関係を清算するべくクリニックに向かいますが、ポールが引き出しに隠してた拳銃も持っていきます。
クロエはルイに会うと、サンドラに会いに行ったことを話し、ルイがやったことを非難します。
しかし、ルイの言い分は夢の中でポールが言ったことと同じで、双子を楽しんでいたサンドラを非難するものでした。
そしてルイは「クロエもサンドラと同じだ」と非難すると、クロエはルイに拳銃を向けます。
するとルイは「今日はゲストがいる」と言ってベッドルームのドアを開けるとポールが現れます。
ポールは「ルイの言ってることは本当だ」と庇うと、クロエは頭が混乱してきます。
クロエは2人から責められると、サンドラのように拳銃をこめかみに当てて引き金を引こうとしますが、思い直すとルイに向けて発砲します。
ルイは胸を撃たれて即死すると、クロエのお腹が不気味に動き始めます。
クロエのお腹が裂けて羊水と血液が混ざったものが出てくると、中から赤ちゃんの手が出てきてクロエは気を失います。
クロエは気が付くとストレッチャーに乗せられ病院の手術室に運ばれるところでした。
手術室の隣のガラス窓からポールが手術を見守ります。
手術が終わるとクロエの母(シェンカー夫人と1人2役)も駆け付け、ポールと2人で医師から説明を受けます。
手術の結果、クロエは妊娠してなく、クロエのお腹から取り出されたのは畸形嚢腫(きけいのうしゅ)でした。
クロエは母親の胎内にいるときは元々は双子でしたが、片方がクロエに取り込まれたのでした。
母親も元々が双子だったことを知らず、クロエが長年苦しめられていた腹痛の原因もこれによるものでした。
サンドラという名前もクロエが体内に取り込んでいた妹に無意識に付けていた名前です。
また、本来は双子で生まれてくるはずだったのに、無意識ながらも自分だけが生まれてきたことにクロエは自責の念を感じていて、それがいるはずのないルイを生み出していて、ルイとのやり取りは全てクロエの妄想によるものでした。
退院したクロエはポールと身体を重ねてると、部屋の窓ガラス越しにサンドラが現れ窓ガラスを叩き始めます。
窓ガラスにひびが入り、粉々に砕け散ると、不感症だったクロエの身体は絶頂に導かれ映画は終わります。
双子の精神科医を巡る1人の女性の物語は、途中に書いたように『戦慄の絆』を想起させますが、オチは主人公自身が元々双子で、寄生性双生児であることから『バスケット・ケース』的なのかな?と思いました。
このキメラの女性なんかは、三毛猫のオス的な感じといえるんでしょうかね?
映画はルイが出てくる30分過ぎまでは退屈なんですが、ルイが出てくると面白く観れます。
本作はR18+作品ですが、ルイとの初めてのセックスシーンはAVかと思うくらい激しくて、主演のマリーヌ・ヴァクトのアンダーヘアも見えちゃってるんですが、フランスではこのクラスの美人女優がガンガン脱いでて凄いなぁと思います。
マリーヌ・ヴァクトを見てるとイザベル・アジャーニに見える時があったんですが、そういえばイザベル・アジャーニもガンガン脱いでたのを思い出します。
それと心理サスペンスと謳ってますが、後半なんかは黒沢清監督的なホラーな感じもして、そういうのも加味すると、1981年のイザベル・アジャーニ主演の『ポゼッション』なんかも思い浮かべました。
配役は意図的に1人2役が多いので初見だとちょっと戸惑うと思いますが、後から考えると「ああ、そういうことなのか」と合点がいくので、なるべく予備知識無しで観ると楽しめると思います。
先日、元ももクロの有安杏果さんが芸能活動に復帰し精神科医との交際発表もされましたが、それを聞いたとき「転移性恋愛じゃないかな?」と思ったんですが、やっぱりそういう記事が出てきたので何となく貼っておきます。
鑑賞データ
ヒューマントラストシネマ有楽町 TCGメンバーズ ハッピーチューズデー 1000円
2018年 132作品目 累計125100円 1作品単価948円
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