パティ・ケイク$ 評価と感想/NR ニュージャージーノラッパー

パティ・ケイク$ 評価と感想
スポンサーリンク

スーザン・ボイルのようなサクセスストーリー ☆4点

2017年のサンダンス映画祭で正式上映され、シアトル国際映画祭で作品賞を受賞したラップ映画。
監督は長編デビュー作となるジェレミー・ジャスパー、主演はダニエル・マクドナルド

予告編

映画データ

パティ・ケイク$ (2017):作品情報|シネマトゥデイ
映画『パティ・ケイク$』のあらすじ・キャスト・評価・動画など作品情報:大好きなラップで成功を夢見る女性の奮闘を描いた青春ドラマ。
パティ・ケイク$ : 作品情報 - 映画.com
パティ・ケイク$の作品情報。上映スケジュール、映画レビュー、予告動画。困難な状況に置かれながらもラップで成功を収めようと奮闘する女性を描き、サンダンス映画祭で話題を集めた青春音楽ドラマ...

本作は2018年4月27日(金)公開で、全国11館での公開です。
今後順次公開されて、最終的に23館での公開となるようです。

ヒューマントラストシネマ渋谷に行くたびに予告編を目にしまして、面白そうだなと思って観に行った次第です。

監督はジェレミー・ジャスパー
ミュージックビデオ出身の監督で本作が長編映画デビュー作だそうです。
2017年のサンダンス映画祭で話題になり、アカデミー作品賞を連発しているフォックス・サーチライトが10億円で買い付けたことでも話題になったようです。

10億円で買い付け!サンダンス映画祭で話題のラップコメディーとは - ライブドアニュース
今年のサンダンス映画祭でフォックス・サーチライトが950万ドル(約10億4,500万円=1ドル110円計算)で買い付けた話題作『パティ・ケイクス(原題) / Patti Cake$』について、主演ダニエル・マクドナルドとジェレ

主演はダニエル・マクドナルド
オーストラリア出身だそうで初めましての女優さん(ダニエルだけど)です。
毎年ヒューマントラストシネマ渋谷で開催されている「未体験ゾーンの映画たち 2018」の中で、気になりつつも結局見なかった『シークレット・デイ』という作品に出演していたようです。

他に共演と配役は以下の通りです。

パトリシア・ドンブロウスキー(パティ・ケイク$/キラーP): ダニエル・マクドナルド
バーブ(パティの母): ブリジット・エヴァレット
ジェリ: シッダルタ・ダナンジェイ
バスタード: ママドゥ・アティエ
O-Z: サー・ンガウジャー
DJフレンチ・チップス: MCライト
ナナ(パティの祖母): キャシー・モリアーティ

あらすじ

主人公のパティは、掃き溜めのような地元ニュージャージーで、呑んだくれの元ロック歌手だった母と、車椅子の祖母と3人暮らし。23歳の彼女は、憧れのラップの神様O-Zのように名声を手に入れ、地元を出ることを夢みていた。金ナシ、職ナシ、その見た目からダンボ!と嘲笑されるパティにとって、ヒップホップ音楽は魂の叫びであり、観るものすべての感情を揺さぶる奇跡の秘密兵器だった。パティはある日、フリースタイルラップ・バトルで因縁の相手を渾身のライムで打ち負かし、諦めかけていたスターになる夢に再び挑戦する勇気を手に入れる。そんな彼女のもとに、正式なオーディションに出場するチャンスが舞い込んでくる 。

(公式サイトhttp://www.patticakes.jpより引用)

ネタバレ感想

観終わった直後の感想はまさに『SR サイタマノラッパー』ニュージャージー版だと思いましたね(笑)


主人公が太ってるところとか、自信がないところとかそっくり(笑)

でも映像的には、パティが夢で見るO-Zの描写とかが凝ってたんでサイタマノラッパーよりカッコよく仕上がっていました。

主人公のパティはバーでバーテンダーのアルバイトしてます。
母親のバーブは美容師なんですけど不景気で経営が芳しくなく飲んだくれてます。
祖母のナナはほぼ車椅子生活で介護が必要なんですけど、バーブが病院の支払いとかちゃんとしてなくて、パティがもっと稼がなくちゃなりません。

街に出れば、子供の頃からその容姿から「ダンボ」とからかわれるパティの唯一の楽しみは、ラップのリリックを書き綴り、祖母のナナに披露したり、自分のリリックを評価してくれるドラッグストアでバイトする友人で音楽仲間のジェリとラップをしたりすることです。

パティはバーのオーナーに時給上げてくれるように頼むんですけど断られます。
それどころかバーブがパティを頼ってタダ酒飲むんで、その分もちゃんと支払うように言われます。
それでも背に腹は代えられないパティがどこか仕事を紹介してくれないかと頼むと、給仕サービスの派遣をしている会社の面接までは受けれるように手配してくれるんですが、そのそばからバーブがタダ酒を飲みに来ます。

イエガーみたいなお酒をショットで3杯飲み干すと、上機嫌でバーのカラオケでハートの「ジーズ・ドリームス」を歌い始めます。

バーブもちょっと太ってるんですけど、若い頃は地元のアマチュアのロックバンドでボーカルしてて、その歌声からなかなか人気がありモテてたようで、現在でも酒の席では人気があります。

バーブはパティに稼いでもらわなくちゃ困るんで、面接に受かるように必死で、パティの髪を切ろうとするんですが断られます。
パティは面接に行ってアピールするも、臨時雇いのリストに登録しとくと言われるだけでした。

ある日、パティは、ジェリがマリファナを買ってる地元のラッパーのスラッズが主催するライブを見に行きます。
するとそこで、観客からヤジを飛ばされながらも黙々と演奏しているジミヘンがデスメタルしてるみたいなバスタードという黒人青年が気になります。
パティは演奏が終わると「よかった」と声を掛けますが、バスタードは全く心を開かない感じで帰っていくのでした。

以前から、ジェリからCDを作ろうと言われていたパティは、ジェリが予約したスタジオに向かいます。
スタジオ代1時間50ドルにビート代350ドルを支払いますが、スタジオスタッフからマリファナも吸えないのかと言われると、パティは無理して吸い気持ち悪くなりレコーディングどころではなくなってしまい、払ったお金が無駄になります。

また別の日には、ジェリと一緒にガソリンスタンドに寄ったところ、スラッズとその仲間たちがラップバトルしてるところに出くわします。
スラッズが対戦相手を募集すると、引っ込み思案なパティに変わってジェリが手を挙げパティの背中を押します。
パティはスラッズにディスられまくりますが、更にディスり返すと怒ったスラッズにヘッドバットされます。
すると騒ぎに気づいた警官が駆け付けますが、パティが身分証を見せると「バーブの娘か」と言われ、母親にバンドのボーカルをして欲しいと連絡先を渡されます。

パティが祖母のナナと祖父の墓参りをしていると、墓参りをしてるバスタードを見かけます。
パティは近寄って声を掛けますが、相変わらず心を開かないで去って行くので、ナナの車椅子を押して後を尾けます。
バスタードは地元民に地獄門と呼ばれる高架下のトンネルを抜けると、森の中にある廃墟のような一軒家に入っていきます。
パティは入り口のところでナナに待ってもらうと、家の中に入っていきます。
すると家の中には音楽機材がたくさんあり、バスタードが1人で曲作りをしてます。
パティは自分のリリックを見せてバスタードを説得するとナナを家に入れ、電話でジェリを呼び曲作りを始めます。

グループ名は4人の頭文字を取ってPBNJと付けます。
曲が完成すると地獄門を背景にジャケ写を撮り、CDを完成させます。

CDが完成するとジェリが地元のストリップバーで初ライブをする段取りを付けます。

パティは臨時雇いの給仕サービスに呼ばれると、仕事ぶりが認められ頻繁に呼ばれるようになり、自分の環境が好転し始めます。
次に呼ばれた給仕サービスのパーティ会場では、パティが普段よく聞いているラジオDJのフレンチ・チップスがDJをしていて、自分のCDを渡すことが出来ます。
更にパティが密かに思いを寄せていたバスタードも少し心を開いてくれます。
本名を教えてくれ、弁護士である父の敷いたレールに背いてることを知ると2人は結ばれますが、ここからまた下り坂になってしまいます。

まず祖母のナナが脳卒中で倒れ入院してしまいます。
またバスタードは寝たことへの気まずさなのか姿を消してしまいます。
さらにナナが入院したため、派遣先にギャラのいい現場を希望していたところ、通常の2倍のギャラの現場に派遣されます。
超豪華な屋敷での給仕でしたが、上司からグリーン・ビースト・アブサンというカクテルを作れる者はいるかと聞かれ手を挙げたところ、そのカクテルを運んだ先はO-Zでした。
パティはO-Zの前でラップを披露しCDを渡しますが、CDに葉巻を押し付けられバーテンしてた方がいいと言われます。
そして給仕の仕事はO-Zを不機嫌にさせたことによりクビになってしまいます。

さらに悪いことは続きます。
ジェリが用意してくれたストリップバーでのライブは、場末もいいところで熟女しかいなく店自体も閑古鳥が鳴いていて、パティは途中でパフォーマンスを止めてしまいます。
そのことでジェリとも仲違いをしてしまいます。

母のバーブは警官に連絡を取り、いい感じで練習していましたが、お披露目のライブで酒に酔ってステージを台無しにしてしまいます。
酔いつぶれたバーブを介抱するパティに対し、出来ちゃった結婚により、夢を諦めなければならなかったと愚痴るのでした。

そしてナナは亡くなってしまいます。

失意のどん底に落ちたパティが家に帰ると、1件の留守番電話が入っていました。
それはいつかのパーティでCDを渡したDJフレンチ・チップスからの電話で、レコード会社が主催するラップの大会に出られるように手配してくれたのでした。
パティはジェリに自分の態度を謝罪し、実家に帰っていたバスタードを探し出し、PBNJを復活させます。

そしてかつての自分の夢を完全に諦め、自宅の前に自身の昔のレコードを捨てていたバーブに、大会に出場するため髪を染めて切ってもらい、大会を見に来てくれるようにチケットを渡します。

大会当日、パティたちは4番目の出場で、O-Zも特別ゲストとして会場に来ていました。
ステージに上がるとパティを知ってる地元民もいて「ダンボ」とヤジが飛びます。
しかしパティはヤジに負けず、ずっとそう言われて育った自身の境遇をリリックにしたラップを披露します。
そして会場に駆け付けた母を最前列に呼び寄せ、バーブも歌に加わらせると、途中から会場も盛り上がるのでした。

このときの曲は最初の「PBNJ」みたいのじゃなく、リンキン・パークの「In The End」みたいにシリアスなものでしたね。

全てのラッパーのパフォーマンスが終わり審査発表となりますが、優勝したのは別のグループでした。
悔しさをにじませつつも、やりきったパティは満足して会場を後にします。

地元のニューアークまで車で帰り、いつも集まる場所で解散しようとすると、いつも聞いてるDJフレンチ・チップスの番組が始まります。
そしてリクエストが殺到してる曲として流れてきたのは「PBNJ」でした。

 

ニュージャージーと言えば、ボン・ジョヴィの「ニュージャージー」のイメージだったんですが、本作ではラップでしたね。

(もうハードロックの時代が復活することは無いのかなぁ)

サイタマノラッパーでは2で女性たちを主人公にしてるんで、主人公を取り巻く環境とかも似てたりします。

というか、地方を取り巻く閉塞感は日本もアメリカも同じなんだなぁと思います。

ニューヨークとニュージャージー、東京と深谷の距離関係も似ていて、ほぼ『NR ニュージャージーノラッパー』と言っていいと思います。

なので逆に言うとサイタマノラッパーは色んな国でリメイクできるコンテンツ及びフォーマットだということだと思いますね。

映画は基本的にはコメディベースですので、深刻過ぎることなく見られますし、ラップが流れると思わず手でリズムをとりたくなりますし、安定的に面白さが保証されてる作品なのでおススメですよ。

鑑賞データ

ヒューマントラストシネマ渋谷 TCGメンバーズ ハッピーフライデー 1000円
2018年 70作品目 累計62500円 1作品単価893円

コメント