沈黙 -サイレンス- 評価と感想/スコセッシ先生、長いです

沈黙 -サイレンス- 評価と感想
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主要部門でのアカデミー賞ノミネートならず残念 ☆4点

予告編

映画データ

沈黙 -サイレンス- (2017):作品情報|シネマトゥデイ
映画『沈黙 -サイレンス-』のあらすじ・キャスト・評価・動画など作品情報:遠藤周作の小説「沈黙」を、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』などの巨匠マーティン・スコセッシが映画化した歴史ドラマ。
http://cinema.pia.co.jp/title/171243/

1月は第1週、第2週と公開作品が少なく、それほど観たい作品がなかったのですが、ここにきて『トッド・ソロンズの子犬物語』ですとか『ネオン・デーモン』ですとか『新宿スワンⅡ』『ザ・コンサルタント』『沈黙』とかが公開されて、来週からは『ドクター・ストレンジ』『マグニフィセント・セブン』『スノーデン』とか公開されるので、どうやってサービスデーに組み込もうかと思案したところ、まず本作からの鑑賞となりました。

本作は上映時間162分もあって長いんですよね。
スカラ座で観たんですけど、スカラ座だと1日3回上映、他の劇場でも1日4回くらいしか上映出来ないので、観れる時間帯に行っとかないと、スケジュール組み込むの難しいぞと思った次第です。

それで本作は1月21日(土)に公開された訳ですが、初週の動員ランキングでは4位。
『ラストサムライ』みたいにヒットするかなぁと思って1位になると思ってたので意外でした。

『君の名は。』が22週目に入って1位に返り咲くこともビックリなんですが、2週目の『本能寺ホテル』に負けるとは。
キリスト教を保護した織田信長に負けるっていう…
そして3位の『新宿スワンⅡ』にも負けるっていう…
年配の方は話知ってるから観に行かないのかなぁ?
まあ、上映回数少ない分、動員数は落ちるかなとは思うんですが、『ラストサムライ』も154分だったので、あんまりヒットしないのかもしれません。

マーティン・スコセッシ監督の前作は『ウルフ・オブ・ウォールストリート』でこれも179分と長かったのですが、スコセッシ先生、長いです。トイレ行く人多かった(笑)

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まあ、でも、長かったんですけど、眠くなることもなく集中して観れて面白かったです。

期待されたアカデミー賞ノミネート。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』は主要5部門のノミネートでしたが、昨日発表された本作は撮影賞のみで追い風も吹きそうもなく残念です。

あらすじ

17世紀、江戸初期。幕府による激しいキリシタン弾圧下の長崎。日本で捕えられ棄教 (信仰を捨てる事)したとされる高名な宣教師フェレイラを追い、弟子のロドリゴとガルペは 日本人キチジローの手引きでマカオから長崎へと潜入する。
日本にたどりついた彼らは想像を絶する光景に驚愕しつつも、その中で弾圧を逃れた“隠れキリシタン”と呼ばれる日本人らと出会う。それも束の間、幕府の取締りは厳しさを増し、キチジローの裏切りにより遂にロドリゴらも囚われの身に。頑ななロドリゴに対し、長崎奉行の 井上筑後守は「お前のせいでキリシタンどもが苦しむのだ」と棄教を迫る。そして次々と犠牲になる人々―

守るべきは大いなる信念か、目の前の弱々しい命か。心に迷いが生じた事でわかった、強いと疑わなかった自分自身の弱さ。追い詰められた彼の決断とは―

公式サイトより引用)

ネタバレ感想

それで、肝心の内容の方なんですが、いわずと知れた遠藤周作先生の『沈黙』なんですが、これは教科書で読んだのかな?それとも、読んでないけど内容は知ってる、とかなんですけど、まあ日本人にはお馴染みの話で、物語的には想像できるので安心して観れました(あと調べたら1971年に篠田正浩監督で映画化されてるんですね。しかも遠藤周作先生も脚本で参加されてるという、これは観なくちゃ)

自分は無宗教なので、あの葛藤とかは理解出来ないんですけど(役人が言うように形だけだから踏んじゃえばいいじゃんと思ってしまう)、そもそも島の人たちに、なぜあそこまでキリスト教が根付いたのかなぁ?と思って観てました。

まあ、社会科の教科書で習った通り、フランシスコ・ザビエルが持ち込んだのですが、キリスト教が持ち込まれた背景には日本より進んでいた西洋文明の背景があって、それがセットで持ち込まれたから布教できたと思うんですけど、今作の島民や村民みたいに食うや食わずの状態では、信仰も何もあったもんじゃ無いだろなぁと思って観てました。

また、島民たちは仮に殉教しても、パライソ(パラダイス)に行けるみたいなことも話してましたが、仏教にも極楽浄土があるし、法然の浄土宗はそれで広まった訳だし、と思って観てたら、最後、南無阿弥陀仏出てきましたね。

それで、ロドリゴ宣教師(アンドリュー・ガーフィールド)と井上筑後守(イッセー尾形)のやり取りを観てたら、キリスト教うんぬんという話よりも、何でも介入する今のアメリカの話をしてるみたいに思えてきました。
特に中東におけるアメリカですね。何でも自分達の価値観を持ち込んでズンズン突き進んでいくっていう。
なんか、そんな風に思って観てました。

日本人キャストは、前半は塚本晋也監督が大活躍で殉教するって役でいい役でした。
笈田ヨシさんは舞台出身の方なんで重厚さがありました。塚本監督とセットで殉教しちゃいます。
イッセー尾形さんはなかなか出てこなくて、映画半分経ってくらいからでしょうか。アカデミー賞ノミネートの声がありましたけど残念でしたね。
浅野忠信さんも半分以上過ぎてからの登場で、通訳者の役で英語が結構喋れる設定なんで、この映画見てハリウッドからオファーくるとすれば浅野さんかなと思います(ラストサムライからの渡辺謙さんみたいに)。
小松菜奈さんと加瀬亮さんはセットで登場、後半からです。この2人も殉教しちゃう役でしたが、小松さんに少し台詞があったくらいでした。
片桐はいりさんは前半でちょっとの役でしたが、海外の映画でも片桐はいりさんしてて凄いなと思いました。
それで、全編を通して出てたのは窪塚洋介さんなんですが、窪塚さん演じるキチジローがキャラクター的には一番分からなかったです。なんかユダみたいな要素もあるんですけど、終始どっちつかずというか。何か生い立ちの背景も語られる重要人物なんですけど、謎の存在でした。ただ単に告解がしたいだけじゃないかっていう(笑)

アンドリュー・ガーフィールドはスパイダーマンシリーズは観てないんですが、昨年観た『ドリーム ホーム 99%を操る男たち』で上手いなぁと思ってたら、スコセッシ監督に起用されました。

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リーアム・ニーソンとアダム・ドライバーはスター・ウォーズの新三部作と続三部作出演者の共演となりましたが、一緒に映ってるシーンは無かったです。
ただ、フェレイラ宣教師を演じたリーアム・ニーソンは棄教して日本人(沢野忠庵)になる設定なんですが、登場した姿がクワイ=ガン・ジンでスター・ウォーズファンはおおっ!ってなるところだと思います(そして日本家屋でのリーアム・ニーソンやっぱでかい)。

スコセッシ監督ですが、映画の冒頭の雲仙地獄のシーンは黒澤明監督の『夢』(スコセッシ監督もゴッホの役で出てる)みたいだなぁと思ったり、船のシーンは溝口健二監督の『雨月物語』みたいだなぁと思いましたが、たぶんそういうオマージュ入ってると思います。

んー、今、Box Officeを見たんですが、アメリカでの公開が昨年末の12月23日公開で、1か月経った1月23日現在で530万ドルちょっと。ま、まずいですなー。日本でもう少しヒットさせないと。

Silence - Box Office Mojo

あ、あと今作は日本での配給はKADOKAWAなんですけど、角川シネマでは上映してないんですね。

鑑賞データ

TOHOシネマズスカラ座 シネマイレージデイ 1400円
2017年 8作品目 累計5000円 1作品単価625円

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